門司港駅舎を復原、よみがえった「大正」の風格 レトロな外観だが、中に入ると「スタバ」が

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店内には古写真も飾られ、一般の人々はそれらに目が向くはず。そして聡い鉄道ファンならば感づくかもしれないのが、歴代4つを並べた丸いスタバマークの壁掛け。表面の湾曲が九州の特徴だった、寝台特急のヘッドマークを模している。ほかにも店内数カ所にレールが使われている。

赤絨毯が敷き詰められた2階の一室は旧貴賓室で、今はレストランの予約制個室となっている(撮影:久保田 敦)

旧小荷物室は、長いすのベンチが置かれて待合室となった。正面にビデオモニターが置かれ、駅舎復原のメイキング映像を流していた。その正面両隅に壁の色に同化して四角い柱が立ち、天井を貫いている。補強のフレーム部材だった。石張りの床には、わずかに色違いの部分がある。それは5%しか残っていなかった当時の石材である。

2階は貴賓室と随行者のための次室、および文化の先端をゆく洋食堂だった。そのため階段からして極上で、タキシードやドレスの役者が現れそうな雰囲気へとよみがえった。金色に輝く滑り止めや真っ赤な絨毯の感触などは、修復から日も浅い今のうちに味わっておくべきかもしれない。

屋根裏の古い構造部材も見学可能

その2階旧食堂は、往時の名前にオマージュし「或る列車」のスイーツを演出する成澤由浩シェフが監修する「みかど食堂 by NARISAWA」となり、最もぜいたくな貴賓室は個室として予約グループ用に充てられる。料理は昼のセットや夜のコースだけではなく、気軽なアラカルトもある。

『鉄道ジャーナル』2019年6月号(4月20日発売)。特集は「新ダイヤの表情」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

食事をしないと店内には入れないが、次室は福岡県や北九州市の協力を仰いだ門司港レトロの展示室として見学可能。窓からはホームや車両基地も望むことができる。1階スタバから上がるエレベーターは2階の屋根裏に新設された廊下につながり、そこに設けられた窓から古い構造部材そのままの屋根内部をのぞくこともできる。

蛍光灯に代えられていたシンプルなシャンデリアは、絵葉書や灯具の取り付け痕を頼りにメーカーカタログから探り当て、今は温かい白熱色の空間が演出されている。

駅を後にすれば、イベント会場はラッシュさながら。和布刈公園までの観光鉄道門司港レトロラインや、関門海峡も駅構内も一目で見渡せる展望台も大入り満員。門司港レトロの玄関が105年の年月を経て再生されたことは、この地を訪れる大きな楽しみとなった。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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