東京のバリアフリーに足りない「観光客目線」 英語で観光情報を伝える車いす生活者の思い

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続いては交通機関。世界の都市に比べて、東京の電車や地下鉄はバリアフリーが進んでいると、グリズデイルさんは高く評価している。

「私が初めて来日したときは、まだバリアフリー化した駅は少なかったのですが、今はほぼ整備されました。駅員さんがスロープを出してくれる姿を見て、感動する観光客もいます」

ただ、課題もある。それは車いすユーザーが一度にたくさん来たときの対応だ。日本の駅のエレベーターは、車いすが1台か2台しか乗れない大きさのものが多い。そのため複数の車いすユーザーが同時に来た場合、移動に予想以上の時間がかかるという。

電車に乗るときは駅員がスロープを用意。外国から来た車いすユーザーからも好評だ(写真提供:グリズデイル氏)

「車いすユーザー3人がJR浅草橋駅から秋葉原駅まで1駅移動するのに、40分以上かかったことがあります。いくら車いすユーザーでも、1人での移動であればそんなに時間はかかりません。エレベーターには1台しか乗れず、対応する駅員さんの数も限られているため、複数のグループが一緒に行動しようとすると時間がかかるのです。

オリンピックとパラリンピックのときには、もっとたくさんの車いすユーザーが同時に移動するでしょう。混雑を軽減するためには、駅のスタッフを短期的に増やす必要があるのではないでしょうか」

日本の世界遺産にバスで行けない…

さらに、東京からほかの都市に移動する場合は、多くの人が困難に直面する。国土交通省の調査では、高速バスを含む乗合バスのうち、スロープやリフトが付いているバスは、2017年末の時点で5.9%しかない。

グリズデイルさんによると、外国人観光客に人気が高い世界遺産の白川郷に、車いすユーザーが交通機関を使って訪れようと思っても、リフト付きなどのバスがないため、タクシーや車でなければ行けないそうだ。

またJRの新幹線での移動は、障害のある人は事前予約が必要になる。そのうえ、会社によって予約のルールが異なっている。JR東海は当日でも電話予約ができるが、JR東日本、JR西日本、JR九州の新幹線は電話で予約できるのは基本的に2日前までだ。

乗車の前日、もしくは当日になってしまった場合は窓口に行く必要があるうえ、乗降時に対応する駅員の確保のため、長時間待たされてしまう。JR東日本は筆者の取材に対して「前日、当日でも電話を受け付けるが、駅員を確保できず対応できない場合がある」と回答している。

「車いすの場合、電話予約が2日前までに必要という情報は、ほとんどの外国人は知りません。当日にチケットを買おうとしたときに健常者はスマホで予約ができるのに、障害のある人が窓口で待たされるのは、やはりおかしいと思います。外国人観光客の多くはJRが乗り放題になるジャパン・レール・パスを購入します。せめてパスを購入するホームページに、障害のある人は必ず早めに予約してくださいと書いてもらえれば、問題はある程度解決するのではないでしょうか」

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