メガバンクの先を行くシンガポールDBSの凄み 世界一のデジタルバンク、知られざる正体

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ユーロマネーは、DBS銀行について次のように評しました。

「DBS銀行は、2017年11月、あまり目立たないながらも革新的なことを行いました。それは、デジタル戦略についてただ語るのではなく、デジタル化が収益性にどのような意味を持つのかを定量的に示したことです。

それによると、DBS銀行でデジタル取引を行う顧客は、店舗を訪れる伝統的な顧客と比べて、2倍の売り上げをもたらし、より多いローンと預金も保有する。

デジタル取引の顧客の獲得にかかる費用は、伝統的顧客を獲得する費用に比べて57%も低い。デジタル取引の顧客は、伝統的顧客と比べて16倍も多く自発的に取引を行う。そして、伝統的な顧客の取引から19%のROEが得られるのに対して、デジタル取引の顧客の取引からのROEは27%にも上る。

実際、まるで『ジェフ・ベゾス』のようなピユシュ・グプタCEOに関するコメントと一緒に、これら事実が開示されると、市場アナリストのDBS銀行に対する評価はアップグレードされ、その当日の株価は4%も跳ね上がったのです。これは、デジタル化についてはっきりと言えることが示す力といえるでしょう。

グプタCEOは“ディスラプション(破壊)に対峙する最善の方法は、先んじて自らを破壊すること”と強く主張してきました。しかし、デジタル化への道が、いかにして、そしてなぜ利益をもたらすのかを説明することに勝るものはありません。2017年、DBS銀行の時価総額は44%上がりました。DBS銀行の株式は、テクノロジー企業の株式として市場で評価され始めたのです」

既存事業との食い合いを辞さなかった

ユーロマネーが「あまり目立たないながらも」としているように、DBS銀行が推し進めたデジタルトランスフォーメーションは、一見するとアメリカの銀行や日本のメガバンクら競合のそれとさして変わらない印象を持つかもしれません。

しかしDBS銀行は、世界で初めて、デジタルトランスフォーメーションの成果を数字で証明してみせました。またグプタCEOが口にした「破壊」というキーワードは、DBS銀行のデジタルトランスフォーメーションが企業全体を刷新するほどに本質的で、徹底的なものであることを示唆しています。

アメリカの銀行や日本のメガバンクは今、既存金融機関として「自己否定」を試みている段階にあります。MUFGなどは「カニバリゼーションすることを恐れるな」とトップが明言し、既存事業と新規事業の食い合いも辞さない構えを示しています。しかし、彼らの変革はまだ途上です。DBS銀行はすでに、自己否定を超えた「自己破壊」を完了させ、デジタル銀行に生まれ変わった段階にある、ともいえるかもしれません。

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