マツダ「CX-30」は、兄弟車と何がどう違うのか まったく新しいSUVとして開発された意味

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2012年にCX-5を皮切りにはじまった新世代商品群も、2016年の2代目CX-5から次の段階へ入りはじめた。そして新しいプラットフォームが、マツダ3から導入され、CX-30へと幅を広げることになる。

ジュネーブ国際モーターショーから伝えられるCX-30は、車体がCX-3とCX-5の間ほどの寸法で、CX-3では後席のゆとりや荷室容量が足りないと感じていた消費者に対し、従来はCX-5の選択肢しかなかったが、それよりやや小ぶりの一台として用意されたようだ。

近年、新型車が誕生するたびに、同じ車格でありながら寸法が次々に大きくなる傾向があり、そろそろ消費者が持てあますようになってきているのではないか。次々に大きくしなくても、ものづくりの工夫で実用性が改善され、上質さや快さなど商品性も上がる新車開発が行われていい時期に来たような気がする。

例えばフランスのプジョー508は、前型より寸法を縮めて新型が登場している。それでも、見栄えが貧相になるどころか、クーペ風の4ドアハッチバックとして新型508は存在感を高めている。

そうした中、マツダのラージとスモールのプラットフォーム戦略は、最適な大きさでありながら商品力を高める素材となっていくのだろう。コモンアーキテクチャーの考えは従来からあったとしても、個別にプラットフォームを考えるのではなく、横展開への基盤ができれば収益性はさらに高まる。

少量多品種を実現するマツダの構想

マツダは、ここにきてやや収益性が鈍りかけていることが決算から伝わってくる。販売台数は伸びても、さらに収益性を高める戦略が求められる。そこには、1000万台規模の大手の5分の1ほどの自動車メーカーとしての知恵と工夫が求められる。世界市場で中核となるマツダ3と、販売の力強い戦力となるCX-30が、新しいスモールプラットフォームを基盤にこれから市場導入される。

マツダのものづくりと商品戦略は、実は世界が注目する経営手法であるのではないか。トヨタがマツダと提携をしたことが、それを明らかにしているともいえる。トヨタは、ハイブリッド技術の特許を公開することで、電動化技術のシステムサプライヤーになると副社長が語ったと伝えられる。

だが、そのままではMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)時代を迎えるに際し、本当にサプライヤー化しかねない。消費者に支持される商品構成によって、大手といえども独自性を示せなければ淘汰される懸念はぬぐえないのである。そこに、少量多品種を実現するマツダの構想が役立つ。マツダ3とマツダCX-30をきっかけに、マツダの躍進は今年もとどまるところをしらない。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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