4月以降、月収は8万円に届かない。以前に購入したマンションのローンはすでに完済しており、メンタル疾患による障害年金が毎月約11万円支給されるので、なんとか生活はしていける。
結婚はしていない。かつて、複数の結婚相談所に登録したこともあったが、縁に恵まれないまま、40歳をすぎたころに退会。「アルバイト生活の今となっては、結婚は到底無理でしょう」
一方、転職を繰り返すことについて、父親からは「我慢が足らない」などと言われるという。これに対し、ヨシユキさんは「じゃあ、100%自己責任だと言われたら、それはちょっと承服できません」と言う。
ヨシユキさんの社会に対する不満はこうだ。
「人材の流動化とか、ダイバーシティーとか、みんな真っ赤なウソ。実際は、大手企業は35歳までしか採用しないし、中小企業でも(入社できるのは)40歳くらいまで。年を取ったら、大手企業に就職するのは不可能。どんなに頑張っても、あがいても、40歳を過ぎてリストラされた人は、受け入れられない構造になっている」
一理ある。しかし、再起をかける場が大手企業でなくてはならない、ということはないだろう。
いっそすがすがしいと、私は思った。むしろ残念だったのは、大手企業をリストラされたり、転職を繰り返したりしたことについて、自分にはまったく責任はないのかと尋ねたとき、「1、2割くらいは、僕にも責任があるかもしれません」と言われたときだ。どうせなら、「自己責任なんてくそくらえ」と言ってほしかった。
現在、アルバイトをしている会社も、いつ辞めるかわからない。「介護労働とか、タクシー運転手とか。選ばなければ仕事はあります。ただ、老後は心配。そのときは生活保護にすがるしかないです」。
乾いた物言いから透けて見えるように、今の心境は「諦め」だという。
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