人質18人立てこもりテロ起こした凶悪犯の正体 2014年12月シドニーで発生した銃撃戦の悲劇
事件発生から6時間。なす術のない警察。要求がいっさい受け入れられず、怒りを増していくモニス。一向に救出の手が差し伸べられない人質の中には、焦りが広がっていた。
「このままでは殺されてしまう」
最初に動いたのは、モニスから最も離れた場所、正面入り口の自動ドアの近くにいた82歳のジョン・オブライエンだった。ドアの横には緑のボタンがあり、それを押せば、ドアが開くのではないか。トイレに行った際に、女性店員にこのボタンについて聞いてみたが、新人の店員は「ドアが開くかどうかはわからない」と言う。
ロックされているドアは開くのか。ジョンは数センチずつ、ジリジリとドアに近づく。モニスはその動きを察知。2度も警告を与えていた。
午後3時35分、ジョンはモニスが目を離した一瞬の隙をつき、一か八かの賭けに出た。自動ドアに駆け寄り、ボタンを押した。そのときのジョンの様子をテレビカメラが捉えている。
ロックされていたはずのドアが開き、ジョンが外に飛び出した。
さらに、1人の男性が続いて脱出。店内の混乱の中で、1人の店員が非常口から脱出に成功した。
18人から15人になった人質……この脱出で犯人・モニスの怒りは頂点に達する。
「勝手に動くなと言ったろ! 見せしめに1人を殺すからな」
発生から16時間を過ぎて激しい銃撃戦に突入
3人の人質が脱出に成功したことで、残された人質は絶体絶命の危機に立たされる。地獄の密室と化した店内で始まる人質と犯人の心理戦。生還への闘い……。
テレビカメラが見つめ続けたカフェ立てこもり事件は、発生から16時間を過ぎて、特殊部隊が突入。大都市の中心部で繰り広げられた激しい銃撃戦で衝撃の結末を迎えることになる。
被害者だけに配布された資料、1万4500人の関係者の証言と、1200時間分の映像分析によって事件を徹底検証した「インクエスト(検死法廷による事件報告書)」を基に、番組では事件の詳細を完全再現。世界を震撼させた犯行の全容に迫った。
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