人質18人立てこもりテロ起こした凶悪犯の正体 2014年12月シドニーで発生した銃撃戦の悲劇
「ジャーナリストが現場に駆けつけるのは、数分後、数時間後、時には数日後です。何かが起きる前からその場にいて、すべてを目撃することは極めてまれです。あのとき、なぜ私があの場にいたのかは、今でも理解できません。でも、私は“そこにいた”のです」
そう語るのは、オーストラリアの大手テレビ局、チャンネル7の名物ニュースリポーター、クリス・リーズン(53)。世界各地のニュースの現場に駆けつける彼は、アメリカ同時多発テロ事件や東日本大震災でも現場からリポートをしてきた。そんな彼の30年に及ぶ経験の中でも、この事件は最も深く胸に刻まれていると言う。クリスは、規制線の中からの報道を許された「唯一のジャーナリスト」だったのだ。
2014年12月15日。クリスが半年間の長期休暇を終えて、久しぶりに出勤した朝、通りでコーヒーを買っていたときに事件は起きた……。
穏やかな朝のカフェが一転、事件発生
オーストラリア最大の都市、シドニー中心部にあるリンツカフェは、クリスマスを目前にして、開店直後から賑わいを見せていた。
午前9時40分、突然、立ち上がったのは、黒い野球帽を被った男。少し前から店長のトリイ・ジョンソン(34)を呼び出し話し込んでいた男だった。
「全員、その場から動くな。ここにいる人間はすべて人質だ。自分の言う通りにすれば危害は加えない。シドニーの町は今、私たちの攻撃下にある」
肩に下げたバッグから取り出したのは、銃身を短く改造したショットガン。背中に背負ったリュックサックの膨らみ、隙間からのぞくケーブルは「自爆装置付きの爆弾だ」と叫んだ。「オーストラリア初のテロリストによる立てこもり事件」が発生した瞬間だった。
銃を掲げる男は、従業員に店の出入り口の鍵をかけさせた。そのとき、店内にいたのは、10人の客と8人の店員。合わせて18人が人質となる立てこもり事件の幕が上がった……。
『目撃!超逆転スクープ3 〜戦慄の凶悪犯vs決死の救出作戦〜』(4月13日(土)夜9時~フジテレビで放送)では大都市の中心部で実際に起きた前代未聞の事件をシリーズ特番の第3弾としてお届けする。
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