スルガ問題どこ吹く風「マンション投資」の熱狂 競争が激化する一方で、融資環境には異変も

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都内の投資用マンション(中央)。用地費を抑えるため、狭小な土地に細長く建つ例が多い(記者撮影)

勢いづく区分マンションに対しては、1棟アパート・マンションを手がける会社も熱い視線を送る。アパート建設大手で東証1部上場の東建コーポレーションは、首都圏で地主向けにワンルームマンション建設の営業を始める。

元々30㎡以上の1Kタイプを展開していたが、「都心にはまだ入居需要がある」(同社)と判断。新規採用や配置転換などで、首都圏での営業人員を500人規模まで増やす。融資厳格化の煽りを受けて不振のアパート事業を、マンション事業でカバーしたい格好だ。

投資家向けに1棟マンションを開発・販売する東証マザーズ上場のフェイスネットワークも「買い付けの申し込みは来ているが、融資が下りないケースが増えている。1棟での販売を予定していたマンションを、証券化など小分けにして販売することを検討している」(担当者)という。

競争激化で中古も高騰

過熱感を帯びる一方で、足元での開発競争は激化している。

入居者の募集や資産価値の保全を考えれば、投資用マンションは好立地に建てることが重要だ。投資用不動産への融資を行っているオリックス銀行の真保雅人・不動産コンサルティング室管掌役員補佐は、「(投資用)マンションローンのほとんどは東京23区内か、せいぜい川崎・横浜市内の物件だ」と話す。限られた土地を業者間で奪い合う形となり、思うように土地が仕入れられず販売戸数を伸ばせない業者もいる。

都心部で増える「ワンルーム条例」も曲者だ。住民の入れ替わりが激しくなり、地域コミュニティの希薄化が懸念されることなどを理由に、ワンルームタイプを狙い打ちした条例で、千代田区の場合は「専有面積が最低25㎡以上」「総戸数が20戸以上の場合は、ファミリータイプ(40㎡以上)の専有面積合計が全住戸の3分の1以上としなければならない」といった制限がかかる。事業採算性が見込めなくなるため、業者にとっては無視できない存在だ。

2012年度から2014年度だけで39棟ものワンルームマンションが建った川崎市では、2016年9月にワンルーム条例を厳格化。最低面積を18㎡から25㎡へと引き上げ、管理人が駐在すべき時間も長くした。その結果、不動産経済研究所によれば、2016年には川崎区だけで766戸もの区分マンションが供給されていたのが、翌年には最多の中原区でも430戸と激減。利便性の高い土地の開発が次々に封じられた結果、残された土地の希少価値はいやが応にも高まる。

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