統一地方選、安倍政権「実力者3人」に明暗

野党は共闘の足並みに乱れ、与党に安堵感

ただ、維新創業者の橋下徹・元大阪市長は安倍首相と親しく、菅義偉官房長官は松井氏と太いパイプを持っている。安倍政権に協力的で改憲勢力でもある維新が「大ばくちに勝って生き残った」(官邸筋)ことを、首相官邸は内心では好感しているとみられている。松井氏らは2025年の大阪万博開催でも政府との連携を強めており、「今後も首相官邸と維新の協力は不可欠」(政府筋)だからだ。

一方、保守分裂となった福岡県知事選は、現職の小川氏が自民推薦の新人で厚労省出身の武内和久氏(47)にトリプルスコアをつけて圧勝した。武内氏は、麻生氏が強引な手法で自民党本部の推薦を取り付けた候補者だが、地元の二階派国会議員や山崎拓元副総裁、古賀誠元幹事長らによる「反麻生連合」の前になすすべもなく敗れ去った。

「反麻生」圧勝で麻生氏の求心力低下も

過去2回の知事選では、麻生氏が先頭に立って小川氏を支援したが、保守分裂選挙となった2016年の衆院福岡6区補選での小川氏の対応に激怒した麻生氏が、子飼いの武内氏擁立に走ったのが内輪もめの原因だ。ただ、麻生氏が「失政」と批判した8年間の小川県政が、県民には高い評価を受けていたこともあり、麻生氏のごり押しへの嫌悪感も重なって小川氏の地滑り的大勝となった。

選挙期間中、小川氏を支援する自民議員らを「造反者」と攻撃した麻生氏だが、県民から突き付けられた選挙結果には「誠にふがいなく、我々の力不足だったと心からお詫び申し上げる」と苦虫をかみ潰したような表情で頭を下げた。自民党内では「わざわざ党本部を負け戦に引きずりこんだ麻生氏の罪は大きい。責任を取るべきだ」(選対幹部)との声も相次ぐ。安倍政権内部での麻生氏の求心力低下は避けられそうもない。

総務省出身の新人同士が激突した島根県知事選は、自民地元県議の多くが推した丸山達也氏(49)が、地元国会議員全員が支援した自民党推薦の大庭誠司氏(59)に競り勝った。

島根は故竹下登元首相や青木幹雄元参院議員会長が築いた強固な選挙地盤から「竹下・青木王国」と呼ばれてきた。今回も故竹下氏の実弟で自民竹下派を率いる竹下亘前総務会長が大庭氏の推薦を決めたが、分裂選挙に敗れ、竹下・青木王国の崩壊が現実のものになった。竹下氏が病気療養中で、青木氏の威光にも陰りが見えていたが、今回の選挙結果は竹下派の後継争いも絡んで、自民党内の権力構造の変化にもつながりそうだ。

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