ゴルフプレー料金はバブル期の3割に下落 東京ディズニーリゾートに単価逆転される

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予約サイトの長短

まず大きいのが客単価の大半を占めるグリーンフィーの下落だ。狩野部長は「バブル期は早めに予約しないと、どんどん空きがなくなった。値引きもなかった」と振り返る。

楽天のGORAやゴルフダイジェスト・オンラインなどゴルフ場予約サイトが本格的に普及した影響もある。予約サイトが利用者を掘り起こし、客単価の安い平日や閑散期の稼働率が上がったことで、平均客単価が低下。一方、ネット上で同じ地域のゴルフ場を一覧して予約できるようになると、料金は安いほうに収斂しやすくなる。予約サイトがゴルフ場のコモディティ化を促した面はありそうだ。

キャディーフィーの急減も大きい。「バブル期には9割近かったキャディー付きプレー比率が、今はたった1~2割」と、PGMの渡部裕司・ナショナルメンバーサービス部長は語る。キャディーフィー自体は利用者1人当たり3000円前後と横ばいだが、客単価としてならすと数百円に急落する。接待ゴルフの減少で、用具を自らカートで運ぶ利用者が増え、キャディーレス化が進んだためだ。

ゴルフプレー料金はまだ下がるのか。アコーディアによれば、週末の単価は底入れ済み。一方、平日の単価はリーマンショックや東日本大震災の影響を引きずり、下落ぎみだ。同社の道田基生常務は「客単価を保つに越したことはないが、大事なのは総売上高。平日や閑散期の稼働率を上げようと思えば、客単価はまだ若干落ちる」と説明する。

今後の課題は、コア利用者である団塊世代のゴルフ“引退”だろう。客単価はともかく、稼働率が確保できるのは、彼らの存在が大きい。

団塊世代完全引退まではせいぜい10年。その間に需要を底上げすることができるか。対策として、大手2社は会員制コースの充実による利用者囲い込みや、ジュニア層の取り込みなどに精を出す。今後もゴルフ場業界の試行錯誤は続きそうだ。

(週刊東洋経済2014年1月11日号)

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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