欧米株式市場、当面は不安定な展開が続く?  楽観的な声もあり市場の予想はばらばら

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4月1日、欧米の株式市場は年明け後に速いペースで上昇していたが、米国債の長短金利逆転(逆イールド)や中央銀行のハト派転換、貿易紛争への根強い懸念などが重なったことで足踏み状態に陥った。ロンドンの金融街で2018年12月撮影(2019年 ロイター/Simon Dawson)

[ロンドン 1日 ロイター] - 欧米の株式市場は年明け後に速いペースで上昇していたが、米国債の長短金利逆転(逆イールド)や中央銀行のハト派転換、貿易紛争への根強い懸念などが重なったことで足踏み状態に陥った。企業業績は悪化の予想が大勢を占めるが、株式市場にはまだ上昇余地があると楽観的な声も聞かれるなど市場関係者の予想はばらばらで、当面は不安定な相場展開が続きそうだ。

欧州の主要株価指数STOXX600<.STOXX>は第1・四半期の上昇率が12.2%と四半期としては4年ぶりの高水準を記録。S&P総合500種<.SPX>も約10年ぶりの高い上昇率となる見通しだ。

欧米の株式市場は昨年末に歴史的な下げを被っただけに、年明けには値を戻すとみられていたが、欧米中銀のハト派転換の大きさや、ここまでの相場上昇を予想した投資家はほぼ皆無だった。

第1・四半期の株価上昇は、米連邦準備理事会(FRB)関係者のハト派発言や中国の景気てこ入れ策、米中通商紛争沈静化への期待などが相次いだ1月に集中しており、上昇率は6─8%に達した。

しかし3月に入ると株価上昇のペースは1%に鈍化。FRBと欧州中央銀行(ECB)が強いハト派姿勢を打ち出したことで、利上げペースは緩慢との楽観論が景気減速の不安へと変わったためだ。

市場関係者は今後について確固たる見通しが持てずにいる。

HSBCプライベート・バンキングの首席市場ストラテジスト、ウィレム・セルズ氏は「市場関係者は値上がりに乗りそびれたのではないかと気をもんだかと思うと、今度は国債利回りで逆イールドが発生して景気が減速しているときに投資するのは道理にかなわないと考えている」と話す。

セルズ氏は債券利回りの逆イールドは行き過ぎで、世界の株式市場はさらに5─7%上昇する余地があるとみる。「今後数週間は相場はさらに不安定になるだろう。市場には統計の改善が確認されるまで不安が残りそうで、第1・四半期の企業決算はそれほど良くない可能性があるため、ボラティリティが一段と高まりそうだ」という。

2月の投資家調査では、向こう1年間の株価予想に大きなばらつきが生じ、コンセンサス不在の状況が浮き彫りになった。

S&P総合500種の2020年半ばまでの予想は25%の上昇から10%前後の下落と幅が広い。欧州のSTOXX600の上昇率の予想も15%から20%強となっている。

ボラティリティを測る指標も第1・四半期に欧米で大幅に低下した。「恐怖指数」の異名を持つ米ボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は13と、ピークだった昨年12月の半分以下に低下。欧州版VIX指数も昨年末に付けたピークの3分の1に下がった。

株式相場の急上昇を止めたのが先週の米国債での逆イールドだ。国債利回りは10年物国債が3カ月物財務省証券を10年余りで初めて下回った。ところが2年物と10年物の利回り曲線はスティープ化(長短金利差が拡大)しており、景気の先行きを警戒する必要はないというシグナルを発している。

そもそも世界経済はまずまずの速度で拡大しており、企業業績はペースが鈍ったとはいえ引き続き伸びており、主要な中銀はハト派姿勢を強めている。

ノーザン・トラストの首席ストラテジストのブーター・スターケンブーン氏は、市場が落ち着きを取り戻すまで数カ月かかる可能性があり、しかも良好な経済指標が示される必要があると指摘する。とはいえ逆イールドは「FRBと、FRBの市場との対話戦略に対する不信任投票」であり、重要視し過ぎるべきではないという。

株式市場がこう着状態を脱するには、マクロ経済統計や第1・四半期の企業決算がそこそこの数字となり、市場関係者の信頼が持ち直すことが必要だ。

しかしアナリストは今年の企業業績予想を過去3年で最低の水準に引き下げており、当面は弱い四半期決算が続くとみている。

それでもリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントのファンドマネジャー、ジャスティン・オヌエクウシ氏は、相場は一服状態だとして強い懸念は抱いていない。「相場は非常に力強く持ち直したが、市場は一本調子ではいかないものだ。ある程度の調整はしかたがない」と話した。

(Josephine Mason記者)

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