日本人が驚くドイツ人の「空気を読まない」気質 「忖度」なんてあり得ない徹底した個人主義

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レストランで店員がなかなか注文を取りに来ず、待ちぼうけを食わされても「経営者が人件費を節約しようとしているので、従業員の数が足りないからすぐに注文を取りに来られないのだろうなあ。かわいそうだなあ」と思うくらいだ。

大半のドイツ市民も、この国のサービスについて「こんなものだ」と思っており、際立って悪いとは感じていない。多くのドイツ人は日本に行ったことがないので、日本のような「サービス先進国」があることを知らないからだ。

ドイツを覆う強烈な「個人主義」

私がドイツ人から高い水準のサービスを期待しないもう1つの理由は、サービスが未発達である背景に、彼らの強烈な個人主義があることを知っているからだ。

ドイツ人の店員は客に対してへりくだらない。客に向かってペコペコせず、つねに堂々としている。ドイツ語でサービスに相当する言葉はDienst(ディーンスト)である。この言葉の動詞はdienen(人に仕える、サービスをする)だが、派生語にDiener(従者、下僕)という言葉もある。つまり、ディーンストという言葉は客との目線の違いを感じさせるので、個人主義が強いドイツ人には聞こえがよくない。誇り高きドイツ人たちは、人に仕えること、サービスをすることが得意ではないのだ。

さらに、ドイツ人は日本人ほど他人の感情を重視しない。感情よりも規則や理屈を重んじる。ドイツ語ではこういう人のことをコップフメンシュ(Kopfmensch=頭を優先する人、感情よりも理屈を優先する人)というが、この国にはコップフメンシュが多い。

例えば、アンゲラ・メルケル首相はコップフメンシュの典型だ。彼女は政治家になる前は、物理学者だった。メルケル氏はどんな状況でも感情を顔に出さず、冷静沈着に振る舞うことで知られる。演説の内容も理詰めで、聴衆の感情に訴えかけるような話し方ができない。感情よりも合理性を重んじる典型的なドイツ人である。

日本人のAさんはドイツ人の知り合いに「こんなひどい目にあった」と自分の体験を話した。その知り合いはAさんに慰めの言葉をかけるどころか「そうですか。自分はそんなひどい目にあわないでよかった」と言っただけだった。他人の感情への配慮という意味では、不可解な反応である。もしもこのドイツ人がAさんの感情に気配りしていたら、こんなことは絶対に言わないだろう。忖度社会・日本に慣れた人の目には、ドイツ人の態度は不思議なものに映るだろう。

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