サバ缶が値上りしても消費者物価は不変のワケ

金融緩和継続でも物価にはあまり関係ない?

実際、価格を上げることは容易ではない。例えば、8日に焼き鳥チェーン大手の鳥貴族が2019年7月期決算の業績予想を下方修正、黒字予想から一転赤字になると発表した。同社は2014年に東証ジャスダックに上場したが、このまま予想通りの結果となれば、上場以来初の赤字決算となる。

同社は人件費等のコスト高を背景に、2017年10月に28年ぶりの価格改定(値上げ)を実施した。この値上げによって客数が減少し、店舗の収益力が低下したことが今回の下方修正の原因の1つである。同社の業績悪化の原因はこれだけにとどまらないといわれるが、これも日本人が値上げに対してアレルギー反応を起こしやすい例の1つとしてあげられそうだ。

日銀は新たな方針を採用したほうがいい?

それでは、日銀は何をすればいいのか。まずは物価だけを金融政策を決定する際の参照指標にしないことだ。例えば、アメリカのように物価と雇用の2つを参照する「デュアル・マンデート」を採用してもいい。

総務省が発表した日本の2018年の完全失業率(年平均)は2.4%と1992年以来26年ぶりの低水準となっている。また、厚生労働省が発表した2018年の有効求人倍率(年平均)は1.61倍と1973年以来45年ぶりの高水準となっている。雇用に対してはいろいろな見方があるが、雇用環境を見れば、今後も緩和を続けなくてはいけないような状況にないことは、一目瞭然ではないだろうか。

また、参照する物価指標を消費者物価指数ではなく、新たな物価指標をつくって、それを新たな軸にするのもよいだろう。前述に例を述べた通り、人力で正確な物価統計を作ることは不可能に近い。そこで、この数年で増加しているビッグデータを扱う企業と共同で新たな物価指標を作ることも視野に入れるべきではないだろうか。

内閣府が7日に発表した1月の景気動向指数(CI=2015年を100とする)は、景気の現状を表す一致指数が97.9と、2013年6月以来の低水準となった。基調判断は、「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正された。中国でも5日に開幕した中国の全国人民代表大会において、中国政府が今年の経済成長率目標を6.0~6.5%に引き下げ、欧州においても英国のEU離脱(Brexit)など景気減速の兆し以外にもいくつかの火種がある。肝心のアメリカでは、今後の経済成長の伸びしろは限られている。

仮に世界同時不況のようなことが起きた場合、今の日銀が打てる金融政策はほとんど存在しない。増税を控える中で、リーマンショック後の中国のような大規模な財政出動をすることも不可能だろう。日銀は無理に「物価目標の達成に注力する」と言い続けるのはやめたほうがいい。

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