サバ缶が値上りしても消費者物価は不変のワケ

金融緩和継続でも物価にはあまり関係ない?

わが家では週末は筆者が夕飯を作ることが多いのだが、先日あるレシピを見つけて、スーパーにツナ缶を買いに行った。缶詰コーナーでは目当てのツナ缶の横で、さまざまな種類のサバ缶が派手に特集されていた。値札を見ると、筆者の感覚のはるか上の値段がついていた。帰宅してネットで検索してみると、テレビの人気情報番組でサバ缶の栄養価の高さや美容への効果を特集したことがきっかけで、世間では空前のサバ缶ブームが訪れているという。

これだけサバ缶の値段が上がってしまうと、代替物としてツナ缶を買ったり、そもそもサバ缶を使った料理を作らなくなってしまうだろう。明らかにサバ缶を使う家計を「圧迫」する要因の1つだ。

しかし、現在の消費者物価指数には、このサバ缶の値段の変化は反映されない。消費者物価指数の構成品目を細かく見ていくと「魚介缶詰」という品目がある。しかし、この品目には「まぐろ缶詰」だけが含まれ、サバ缶は含まれていない。つまり、どれだけサバ缶の値段が上がっても、消費者物価指数には反映されないのだ。

もう1つ例を挙げてみよう。わが家には育ちざかりの子どもが3人いるので、牛乳は必須である。明治の「おいしい牛乳」がお気に入りの1つなのだが、もし仮に値上げをされてしまうと、わが家の家計にとってはダメージが大きい。しかし、仮に値上げがあったとしても、これもまた消費者物価指数には反映されない。

同様に消費者物価指数の構成品目を見ていくと、「牛乳」という品目があり、これは「牛乳(店頭売り)」と「牛乳(配達)」に分かれている。牛乳(店頭売り)は紙容器入りの1000mlのものが調査対象で、牛乳(配達)は瓶入りの180mlのものが調査対象だ。明治の「おいしい牛乳」は店頭売りに該当するが、紙容器入りではあるものの、900mlなので調査対象からは外れている。つまり、「おいしい牛乳」がどれだけ値上げをしても、やはり消費者物価指数には反映されないのだ。

物価が上がらないことは、本当に悪なのだろうか?

そもそも物価が上がらないことや下がることはそんなに悪いことなのだろうか。物価以外の経済状況が同一という条件であれば、物価は下がったほうが国民にとっては喜ばしいことだろう。闇雲に物価目標の達成だけを考えて緩和を続けるのは、誰が得をするのだろうか。

これだけ長い間、物価が上がらない状態で生活を続けてきた日本人にとって、物価上昇はなかなか受け入れられないだろう。今でも鮮明に覚えているが、2017年4月にイオンの岡田元也社長が2018年2月期の決算予想を発表した際に、「脱デフレは大いなるイリュージョンだ。今後はディスカウント店舗などに注力し消費者を支える」と述べたように、日本人の消費は二極化が進んでいるといわれるなかでも、このところ値段が安いものを選好するようになっている。

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