恋人が「心の病」にかかったら、どうすべきか

結婚の直前、会社に行けなくなってしまった

ただ毎回どんなに暴れても、幸恵の身体に暴力を振るうことはなかった。そして、翌日はシュンとして、しきりに反省の言葉を口にした。

「言葉の暴力はあったけれど、私には危害を加えない。そこは、彼の頭の中でストッパーがかかっている。今は心のバランスを崩しているのだから、病気が治ればまた優しい彼に戻ってくれる。そうやって必死に未来に希望を見いだしていました」

男女がいったん縁を結び、付き合う年数が長くなるほど、その縁を断ち切るのはとても難しくなってくる。一緒に重ねてきた年月の中には、楽しいこともたくさんあったし、愛情を向けてくれた優しい彼もいたからだ。

また、別れを選択するというのは過ごしてきた時間を無駄にしてしまうことにもなるので、それが決断に歯止めをかける。幸恵は35歳から38歳という大事な時間を一緒に過ごしてきたのだ。

「あと、彼は見た目も私のドンピシャ、タイプだったんですよ。付き合いだした頃は、毎日が楽しくて、楽しくて仕方なかった。あの頃に戻れるんじゃないかと、すがってしまったところもあるんです」

ところが、年末に祐志の親から、こう言われた。

「このまま祐志に引っ張られていたら、幸恵さんの人生が台無しになってしまう。今、祐志と別れて別の人を見つければ、子どもも授かれるでしょう? 自分の人生をよく考えてください」

親が幸恵にそう助言するほど、彼の症状は悪化していたのだろう。

そして、年が明けて幸恵は祐志と別れることを決意した。

「38歳になって、積み上げてきた3年間を白紙に戻すのには勇気が要りました。ただここで決断しなければ、彼の親御さんがおっしゃったように、私の人生は取り返しのつかないことになると思ったんです」

気持ちを新たに婚活を始めてみたものの

祐志との別れはつらかったが、「悲しんでいる暇はない」と自分に言い聞かせた。そして、新しい相手に出会おうと、まずは手軽に出会える無料の婚活アプリに登録をした。

「そこでは5、6人の方にお会いしました。でも、1、2度食事をすると連絡がこなくなる人、出会ったその日に、肩を抱いてきたり、キスしようとしてくる人、いきなりホテルに誘ってくる人もいて、遊び目的だというのが見え見えで、なんだか疲れてしまいました」

そして今度は、大手結婚相談所に登録をした。

「相談所での活動はまだ1カ月ちょっとなんですけど、申し込みをかけてくるのは、40代後半、50代の人ばかり。私に年齢が近い人や年下は、年収の低い人が多くて。別れた彼は4つ年下だったけれど年収が800万円あったのに。

あと、相談所でお申し込みをいただく方は、見た目もおじさんぽいというか。元彼は年齢よりも若く見える人だったので、どうしても比べてしまって、お見合いしてもその先に結婚をイメージできませんでした」

1つの恋が終わったときに、悲しみから抜け出すいちばん手っ取り早い方法は、新しい恋愛で上書きすることだ。しかし、相手と過ごした時間が長く深い関係を築いていればいるほど、上書きしようとしたときに、幸恵のように別れた恋人と目の前に現れた男性をどうしても比較してしまう。

私は、幸恵に言った。

「3年間真剣に恋愛をしてきたのだから、比べてしまうのは仕方のないことだと思うんです。でも、どんなに年収がよくて、どんなに見た目がタイプだったとしても、心の病になった彼には寄り添えなかった。彼を受け止められなかった。だから、別れを選択したんですよね」

罵詈雑言を浴びせ、怒りのベクトルを向けてきた負の部分を置き去りにして、元彼のいいところだけを拾い出し、新しく出会った相手と比較していたら、次の恋愛はできない。

これは1つの恋愛を終え、新しい出会いに向かっているすべての人たちに言いたいのだが、パートナーとの別れを決断した時点で過去とは決別し、未来に向かってほしい。

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