一流大の不正入学事件で露呈したアメリカの闇 富裕層でないと一流大学に進学しにくい
アメリカで、一流大学を舞台にした不正入学事件が大きな話題になっている。金に物をいわせた手法に注目が集まるが、アメリカの一流大学への入学については、あえて不正な手段を講じるまでもなく、富裕層に有利な側面が問題視されてきたのも事実である。貧困から抜け出す足がかりとなるはずの一流大学が、逆に格差の固定化を助長しかねないのが現実だ。
3月12日、アメリカ連邦検察当局は、一流大学への不正入学を行った容疑で、33人の保護者を含む50人を訴追した。不正を仲介したウィリアム・リック・シンガー被告は、大学進学のための学力試験「SAT」や「ACT」といった標準テストでの不正や、本来であれば資格がないスポーツ推薦枠をコーチなどへの賄賂を使って利用するといった手口を使い、一人当たり40万ドルから120万ドルの報酬を得ていたという。訴追された保護者には、著名な女優や実業家等が含まれ、エール大学やスタンフォード大学、ジョージタウン大学といった一流大学が標的となった。
一般的には「何を今さら」という反応
スキャンダラスな内容が大きな話題になっている一方で、アメリカで意外に多いのが「何を今さら」という反応である。アメリカの一流大学への入学については、富裕層の子息に有利である実態が、かねて問題視されてきたからだ。ニューヨーク・タイムズ紙の著名コラムニストであるフランク・ブルーニ氏は、今回の事件を扱ったコラムに「エール大学やスタンフォード大学への入学に賄賂? いったい何が新しいんだ?」とタイトルをつけている。
不正を仲介したシンガー被告は、今回の手口を裏口(back door)ではなく、通用口(side door)と表現する。シンガー被告に言わせれば、一流大学への入学には、3つの入り口がある。正面入り口(front door)に堂々と出願するのが不安であれば、巨額の寄付金等を使って裏口に回ればいい。しかし、裏口は確実ではなく、費用もかさむ。そこでシンガー被告が案内したのが、割安で確実な「通用口」だった、というわけだ。
ここでいう裏口入学は、あくまでも合法的な手段である。訴追を行った検察当局の担当者も、「われわれが問題にしているのは寄付金ではない(中略)詐欺行為を問題にしているのだ」と述べている。図らずも、合法的な裏口の存在を認めた格好である。
今回の不正事件の報道では、ドナルド・トランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏がにハーバード大学に入学した際に、彼の父親が250万ドルを大学に寄付していたことを併せて報じる記事が目立った。この件にしても、寄付の狙いがどうであれ、違法な行為としてとがめられているわけではない。
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