コミュニケーションが人を育てる--野村証券、ミクシィの社員活用術

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 ミクシィが、組織運営で最も気を使っているのは「コミュニケーションを密に取ること」と、小泉文明取締役は説明する。ミクシィが手掛けるネットサービスの世界は極めて変化が早い。そうした変化をいち早く浸透させるには、コミュニケーションが重要な要素になる。

毎月末の金曜日の夜に開催される月例会。全社員をコラボレーションスペース(普段は食堂や談話、休憩スペースとして利用しているホール)に集め、社長はじめ幹部が経営状態や新サービスなどのその月のトピックスを30分ほどかけて説明する。その後は、「フィンガーフードパーティ」と称して2時間ほどの飲み会が開かれる。すしやピザ、ビールなどを用意しており、めいめいに飲食を楽しむ趣向だ。

3カ月に一度は、納会としてグレードアップして開催する。08年12月の納会は渋谷の大型ホテルの宴会場を会場に、夜遅くまで親睦を図った。会社主催のイベントだけではない。ミクシィでは幹部から平社員まで、一律で月間3000円の会食費を支給し、職場で飲み会や食事会を“奨励”する。

オフィス環境にも気を配る。代表は月例会の会場となるホール。ほぼワンフロア分を利用し、ソファやテーブルに加え、卓球台にビリヤード、ダーツといった娯楽用具や電動マッサージチェア(写真)まで備える。

また、会議室は、調度品の色やデザインに変化をつけている。アイデアを出し合うようなリラックスして進めたい会議では暖色系や和室の会議室を、社外の人を交え緊張感が求められるときは寒色系・ビジネススタイルの会議室を、といった具合に、用途に応じて使い分けられている。

通常の業務スペースは、社長を含め幹部も個室を持たない。窓際には小さな会議スペースを配置している。会議室を使うほどではないが、立ち話では不十分、というレベルの打ち合わせを活発にするためだ。各フロアに設けた「チャットハブ」は、給湯器などを備えた一種の「給湯室」だが、スペースを広く取り、立ち話ができるようになっている。

ミクシィの人事評価は3カ月ごととかなり頻繁だ。成果の評価とフィードバックを徹底。職場によっては、中間的な面接も行うため、多いと年間8回も人事的なコミュニケーションを行うことになる。「変化が速い業界のため、一般的な6カ月ごとの評価では環境変化についていけない。途中で軌道修正をしていたら、結局同じこと」(小泉氏)。ちなみにボーナスも3カ月単位だ。

ミクシィの中心ユーザー層は20歳代前半の若者。その目線を重視するため、若い社員の意見を積極的に取り上げる。たとえば、ミクシィは郵便局(郵便事業会社)と提携し、SNS上で住所を知らない仲間にも年賀状を送れる「ミクシィ年賀状」のサービスを開始した。このプロジェクトを任されたのは入社2年目の若手社員。また、大手下着メーカーを新たな広告クライアントとして開拓してきたのは、女性新入社員だった。

大手通信会社から08年夏転職したmixi事業本部企画部リーダーの川岸滋也さんは「大組織とはスピード感が全然違う。自分の仕事の位置づけと成果が見えやすいのもいい」と語る。人事評価についても、実力主義を基に、きっちり説明がなされるため納得感があるという。

コミュニケーションを密にして若い力を引き出す。それがミクシィの強さの一つといえそうだ。

(週刊東洋経済)

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