雑な採用面接を増やした「就活サイト」の功罪

大企業の採用倍率が「2千倍」に膨張した理由

日本では、採用についての「なぜ」を明確にすることはそれほど求められません。それどころか「目利き」というある種の特殊能力として片づけられていたのです。

確かに人を見抜く目を持つ人はいます。ならばどこかの時点で、その能力をデータ化し体系化する試みがなされていれば、今頃は精度の高い面接システムが確立できていたかもしれません。それをしなかったばかりに、いまだに「こいつなら一緒に働けそうだ」「ガッツがありそうだ」という、面接官の直感に頼った採用がまかり通っているのです。

このような状況が、なぜいつまでも改善されないのでしょうか。その理由の1つとして、私は「就職活動のオープン化と公平化」があると考えています。

かつての日本は、就職にあたってコネやツテ、あるいは有名大学を卒業していることがモノをいう社会でした。「このクラスの大学からは、この企業には応募すらできない」ということがまかり通ってきたのです。そんな状況を改善しようとさまざまな試みもなされてきました。

リクナビやマイナビの功罪

転換点になったのは、1990年代後半に相次いで登場したリクナビやマイナビなどの就職サイトです。これらのサイトが普及したおかげで、今ではスマホを使ってエントリーするだけで、誰もが簡単に、あらゆる企業に対して応募できるようになりました。

確かに就職活動の透明化や機会均等化という点では大きなメリットですが、逆に副作用もありました。人気企業に大量の就職希望者が殺到するという状況が生まれたのです。それが結果として今の就活生たちを悩ませる一因になっています。

現在、大手企業の採用試験合格率は1%と言われています。しかし最近読んだある記事によると、有名企業に応募者が殺到。とりわけ存在が身近で安定感もある大手食品メーカーは大人気で、2015年の内定倍率は、森永乳業533倍、明治はなんと2750倍だったそうです(ちなみに私が在籍していた頃のリクルートも倍率200倍の狭き門でした)。

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