雑な採用面接を増やした「就活サイト」の功罪 大企業の採用倍率が「2千倍」に膨張した理由
私は、正しい面接のあり方とは「面接官の質問に対していろいろ答えていたら、いつのまにか終わっていた」というものだと考えています。そんな面接を体験すると、「聞かれたことに答えていただけなのに、けっこう自分のことを表現できたな」という充実感とともに、「まあ、これで落ちたら仕方ないか」と、面接をやりきった感覚が持てることでしょう。
一方、ダメ面接官に当たってしまうと、なかなか自信が持てない謙虚な学生ほど「緊張して、うまいことが何も言えなかった」「あそこでこう返せばよかったなぁ」などと、後悔の念だけを募らせてしまうのです。
しかし私に言わせれば、就活生に面接テクニックを求めること自体が、そもそも間違いなのです。就活生のみなさんが抱く「何も言えなかった」感は、本当は面接官が「何も引き出せなかった」だけといっても過言ではありません。
数年ごとに違う部署に異動するジョブローテーションが根付く日本企業では「採用のプロ」が育ちにくい環境にあります。たとえ腰掛け人事だったとしても、採用担当として何十人、何百人との面接を経験しているはず。私自身も過去に企業の採用担当として2万人以上の面接を経験しました。
しかし2万回も面接を受けた就活生はいません。「自分は面接経験を重ねてスキルを磨いております!」みたいな"プロ就活生"は存在しないのです。すべての就活生にとって面接は初めての経験ですから、下手で当たり前。だからこそ歩み寄るのは採用担当者、面接官のほうなのです。
「面接のロジカル化」が遅れている日本
ですが残念なことに、これまで日本には面接を科学的に考察し、分析しようとするような動きが起こりませんでした。
一方、人種差別の問題に敏感なアメリカでは、採用に関しては「この人を落とした理由は何か」「なぜこの人を採用したのか」を明確に説明できることが求められます。そのため、採用面接をロジカルに分析し、体系化する取り組みが進みました。
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