東京地裁がゴーン被告保釈、逮捕から108日ぶり 後ろ髪やもみあげには白髪がところどころに

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 3月6日、会社法違反(特別背任)と金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)が午後4時半過ぎ、勾留先の東京拘置所(東京都葛飾区小菅)から保釈された。写真は東京拘置所で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

[東京 6日 ロイター] - 会社法違反(特別背任)と金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴された日産自動車<7201.T>の前会長カルロス・ゴーン被告(64)が6日午後4時半過ぎ、東京拘置所(東京都葛飾区小菅)から保釈された。昨年11月の逮捕から108日目に身柄の拘束を解かれた。

ゴーン被告は、顔を隠すように大きなマスクをつけ、黒縁のめがねをかけ、拘置所の職員らに囲まれながら玄関に姿を現した。つばのついた青色の作業帽を目深にかぶり、黄色っぽい安全帯ベルトのついた濃紺の作業服を着用していた。

また、逮捕前は黒い頭髪が印象的だったが、後ろ髪やもみあげには白髪がところどころ見られた。ゴーン被告は待ち受けていた大勢の報道陣を避けるように軽自動車に乗り込み、拘置所を後にした。車は日産車ではなく、ルーフ上に脚立を積んだシルバー色のスズキ<7269.T>の軽ワゴン車「エブリイ」だった。

弁護を担当する弘中惇一郎弁護士の事務所によると、ゴーン被告の記者会見については「きょうは今のところ開く予定はない」という。

保釈を受け、フランスのルメール経済・財務相は地元メディアに対し、ゴーン被告は「より安心して自らを弁護できるようになるだろう」と述べた。ただ、「私の責任は、ルノー<RENA.PA>とルノー・日産アライアンスにおける何十万もの雇用を確実に守ることだ」とも付け加えた。

菅義偉官房長官は同日午後の会見で、ゴーン被告の保釈について、裁判官の判断に関わる事柄だとして「コメントは控える」とした。ゴーン被告の身柄拘束が長期に及んだことについては「一般論」とした上で、「わが国の刑事事件の捜査については、捜査機関から独立した裁判官による令状に基づくなどの厳格な司法審査を経て、適正な手続きの下で行われていると思っている」と述べた。

ゴーン被告は6日、東京地裁に計10億円の保釈保証金を納付した。内訳は、会社法違反で8億円、金融商品取引法違反で2億円となっている。

保釈の条件としては、1)住居は東京都内に限定、2)住居の出入り口に監視カメラを設置し、録画内容を定期的に裁判所へ提出、2)海外渡航を禁止し、パスポートは弁護人が管理、3)パソコンや携帯電話の使用は制限され、インターネットへの接続は不可。携帯電話での通話先記録は裁判所に提出し、パソコンを使う際は弁護人の事務所の端末を使う、4)事件関係者との接触禁止――などがある。

ゴーン被告は、解任・選任に株主総会の決議が必要な取締役の職には今もまだとどまっているが、日産やルノーの取締役会への出席については、事前に裁判所の許可が必要になる条件がついているという。

弁護人は2月28日に保釈を請求。東京地裁は5日、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断し、ゴーン被告の保釈を認める決定をした。検察側は決定を不服として準抗告したが、地裁は同日夜に退けた。

ゴーン被告は、すべての起訴内容を一貫して否認しており、保釈決定を受け、5日には代理人を通じて英語で声明を出した。

同被告は「このひどい試練の間、私を支えてくれた」家族や友人、「公正な裁判と推定無罪のために戦う」日本と世界の非政府組織(NGO)や人権活動家らに謝意を示した。そのうえで、「私は無実であり、この無意味で根拠のない罪に対し、公正な裁判の場で精力的に自身を弁護することに全力でコミットする」と述べた。

ゴーン被告の弁護団は今年1月に2回、保釈を請求したが、東京地裁はいずれも請求を却下。弁護団が弘中弁護士らに交代し、先月28日に3回目の保釈請求をしていた。

(白木真紀 取材協力:ティム・ケリー、田実直美、竹中清、田巻一彦)

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