平成最後を飾る、JR「史上最強」の特急列車は? 各社を代表する電車・ディーゼルカーが続々
2018年の3月、中央本線の新宿と松本を結ぶ特急“あずさ”に新型車E353系が登場した。アルプスの狭間をぬって敷かれただけあって、中央本線には数え切れないほどの難所が存在する。その難所を走る特急のスピードを上げるため、JR東日本では1993年に351系という振子式の電車を開発した。それから25年、後継車は振子式ではなかった。けれど、新宿と松本の間を、同じ所要時間で走るという。その秘密はどこにあるのか。
5.振子式ではないが JR東日本E353系電車
それは“車体傾斜”という技術である。現在、日本の大部分の電車では、乗り心地をよくするため、台車に空気ばねを使っている。その空気ばねに、線路のカーブに応じて空気を出したり入れたりして車体を傾斜させる方法である。実はJR四国の2000系の後継車として最初に作られた2600系は、この方式を採用していた。けれど、四国ではこの方式では振子式と同じ速度で走り回ることができなかったということから、2700系が新たに造られたのである。
でも、中央本線ではそこまでカーブが多くはない。ということで、新たに造られた電車では、車体傾斜式が本格的に採用されることになった。車体傾斜式は振子式に比べて構造は簡単だからイニシャルコストが安く、メンテナンスも楽だからランニングコストも高くない。つまり経済的メリットが大きいのだ。先行車での試験結果から、量産車ではコンプレッサーの数を増やして、空気の供給能力を向上させる必要があったけれど。
ともあれ、E353系は順調に数を増やしていて、去年3月のダイヤ改正では351系を使っていた“スーパーあずさ”はすべてE353系で運転されるようになった。今年3月16日に実施される予定のダイヤ改正では、“かいじ”もすべて、E353系になる。さらには編成の一部が大月で切り離されて富士急行線にも走ることになっている。中央本線に、新しい時代がやってきたのである。
6.リゾート特急の先駆け JR東日本251系電車
1990年代、各地に豪華な車両がたくさん出現した。それらの多くは団体での貸し切り利用を意識したものだったが、いくつかは定期的に走り、普通に駅の窓口で切符を買うことができる列車として登場した。
その代表は、伊豆リゾートをターゲットとしたJR東日本の“スーパービュー踊り子”251系電車だろう。1990年にお目見えしたとき、世間はあっと驚いたものである。
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