平成最後を飾る、JR「史上最強」の特急列車は? 各社を代表する電車・ディーゼルカーが続々

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スーパービュー踊り子は、名鉄パノラマカーや小田急ロマンスカーなどとは一味違う前面展望のほか、2階建て構造を生かした子どもスペース、個室グリーン席、グリーン席専用ラウンジなどを10両編成の中にちりばめている。10両で定員が530名という数字は、近年の豪華列車に比べれば多いが、例えば251系の前の年、JR東日本として初の新設計特急車として登場した651系と比べると約1割少ない数字である。

2020年春には、E261系と名乗る新型特急車が登場する予定となっている。この電車は編成8両全部がグリーン席で定員は164名だという。1両当たりで251系の約4割にすぎない。

251系が30年を費やして築いてきた“リゾート特急”というカテゴリーは、この新型車に引き継がれているのだろうか。楽しみにしているところである。

7.これぞ“特急”の風格 JR九州787系電車

九州新幹線が具体的に建設開始となる前、JR九州では最大の需要線区である鹿児島本線のサービス向上に力を入れていた。その証しが、JR化の翌年に早くも新形式特急車783系を新製していること、さらに4年後の1992年に後継車として787系をデビューさせたことである。

JR九州の787系(写真:tetsuo1338/PIXTA)

787系電車は博多と鹿児島の間、約300kmを走り抜ける特急列車用としてふさわしい設備を組み込んだ電車として大いに評価された。まずなにより、ビュッフェを設けて乗車中に“食べる”楽しみを確保したこと。そして鹿児島寄りの先頭車に“トップキャビン”と名付けたデラックス・グリーン席と4人個室を設けて、“より上のグリーン車”サービスを行ったことだ。

残念なのは、デビューから10年後にせっかくのビュッフェサービスを停止して普通の座席車に改造してしまったことだ。九州新幹線の登場もあり、ビュッフェの使われ方が変わったという要因もあり、仕方ないことではあるのだが。

それでも今もなお、性能ではなく設備をセールスポイントとした、特急用車両らしさを随所に保ち続けているのが、うれしい。

8.使い勝手がいい JR東海373系電車

東海道新幹線が基幹路線であるJR東海では、在来線の特急車両といえば高山本線と紀勢本線用キハ85系ディーゼルカー、中央本線用383系電車、そしてこの373系電車の3種類しか在籍していない。もうひとつ、小田急線乗り入れ用として371系電車があったが、2015年に引退してしまった。

さて373系電車のどこがすごいのかといえば、特急用ではあるのだけれど、使い勝手がよくて、いろいろな列車に使うことができる点。その意味では、デビュー当初のJR九州787系とは対極にあるといえるだろう。

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