平成最後を飾る、JR「史上最強」の特急列車は? 各社を代表する電車・ディーゼルカーが続々

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このキハ187系は、車体の前面は通勤電車のように真っ平らだし、編成は2両。そのほかの部分も極めてシンプルな構成となっている。しかし客室は特急用らしいゆったりしたシートが備えられているし、内装には木質系材料が使われていて暖か味のある仕上がりとなっている。そしてなにより、性能は最高速度が時速120km。振子式システムを採り入れてカーブで大幅なスピードダウンを強いられることもない。

最初は鳥取県の米子と島根県の益田を結ぶ特急“スーパーおき”と“スーパーくにびき”で使われた。その後、米子と鳥取の間、そして鳥取と智頭(ちづ)の間でも使われるようになり、山陰の広い範囲で、地元の大切な足となっているのだ。

10.唯一無二の存在 JR西日本・JR東海285系電車

285系電車は、1998年に東京と山陰を結ぶ寝台列車“出雲”と、東京と四国を結ぶ寝台列車“瀬戸”を近代化するために、JR西日本が主体となって開発した車両である。

寝台特急「サンライズ」に使われる285系。岡山電車区にて1998年4月20日(筆者撮影)

日本での寝台電車は1966年に登場した581系という電車が最初だが、285系では寝台車すべて個室としてプライバシーの確保につとめる一方で、“のびのび座席”という寝台料金がいらないカテゴリーも設けて、より使いやすい列車となるような努力がなされている。

“出雲”と“瀬戸”は東京と岡山の間では1本の列車として走り、岡山で出雲市と高松行きに分割される。逆方向では岡山まで別々に走ってきて合体する。かつて日本全国で走っていた“夜行列車”が、ほぼ絶滅してしまった今、いつまでも走り続けてほしい列車、車両である。

最初にも記したとおり、“最強”を絞り込むのは至難の業である。あちらを立てればこちらが……となること必定。それでも、どうしても、ということであれば、電車では”唯一無二”の寝台特急である285系、ディーゼルカーでは北海道の大地を疾走する283系を推したい。

“これがいちばん”という車両や列車は、切り口を変えれば、まだまだ候補が出てきそうである。

むろん、読者ひとりひとりに「自分が考える最強の特急列車」というも
 のがあるだろう。そうした声を集めた結果として選ばれた列車こそが、最強の特急列車かもしれない。

前里 孝 シリーズ書籍「レイル」編集主幹

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まえさと たかし / Takashi Maesato

1953年、大阪生まれ。幼いころに三線式Oゲージ鉄道模型を買い与えられて以来、現在までずっと鉄道の趣味にのめりこんでいる。のみならず鉄道に関連する地理、歴史、建築、土木、経済などの分野にも関心が拡がる。仕事面では、長年にわたり株式会社エリエイで鉄道趣味出版物の編集および販売業務に携わってきた。現在は同社顧問。シリーズ書籍「レイル」編集主幹。

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