日本とアメリカ「副業で稼げるか否か」の大差 2027年にはフリーランスが「多数派」になる
いわゆる日本企業式の雇用形態を前提に考えると、これらを、どう線引きするかが、アメリカ企業と比べて難しくなる。なぜなら、多くの場合、社員がどういう業務をするべきかが、アメリカ企業ほど明確に定義されていないからだ。
少なくともアメリカ企業の場合、企業は社員に対して、本来遂行すべき業務と、期待される結果、つまり「ジョブディスクリプション(Job Description)」を定義する。社員は、ジョブディスクリプションによって定義された業務を遂行し、期待される結果を出せば、あとはいくらでも副業に時間を充てることが可能になる。もともとすべき業務が明確になっているからこそ、その業務に割当てられる時間も明確になるし、そのうえで、どの程度の時間を副業に充てられるか、つまり「労務提供上の支障」が発生しない時間を考えやすい。
また、社員が本来するべき業務が明確に定義されていれば、何が「競業により、企業の利益を害する場合」となるかも明確にしやすくなる。本来社内で業務としてやらなくてはならないことが明確になっていることで、何を社外に提供することで「競業」となるかも、合わせて明確にすることができる。
しかし、日本企業の場合、このジョブディスクリプションが明確になっていないことが、本業と副業の境界線を曖昧なものにしてしまっている。副業をしやすい状況を作るのであれば、まずは、個々の社員のジョブディスクリプションを明確にするべきだろう。
2027年にはフリーランスが「多数派」に
ジョブディスクリプションが明確になることで、社員は本当の意味で「プロ」になることが求められる。ジョブディスクリプションが定義されるということは、言い換えれば「業務が専門化される」ということだ。その業務に従事する社員は、もちろん、その専門化された業務においてスペシャリストになることが期待されているし、当然高いプロ意識が求められる。
社員が、それぞれの担当領域において高いプロ意識を持ち、スペシャリストとなるということが求められれば、企業と個人の関係は、よりドライなものになってくる。社員には「より自分を高く買ってくれる企業に対して、自分の専門性を売る」という感覚が強くなるだろうし、企業には「より専門性の高い社員を雇う」という感覚が強まるはずだ。いわば、企業とフリーランスの関係に近くなる。
これは、まさにアメリカ内でフリーランスが増えてきている背景でもある。ある調査では、2027年にはフリーランス人口が非フリーランス人口を上回るとも予測されている。
副業が当たり前になるということは、言い換えれば、社員のフリーランス化が加速するということ。それは、今まで以上に実力社会に突入するということを意味しているのだ。
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