日本とアメリカ「副業で稼げるか否か」の大差 2027年にはフリーランスが「多数派」になる

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この中で、フルタイム(つまり、まったく企業や組織などから雇用されていない)のフリーランスは28%。つまり72%は、どこかに雇われながら、フリーランスとしても活動している。これは、いわゆる副業としての扱いとなるし、そう考えると、アメリカで副業は半ば当たり前のような状況になっている。

一方で日本は、これまで副業の是非、そしてあり方が盛んに議論されていたが、昨年から一気に副業が容認される方向へと転じている。実際、2018年はまさに「副業解禁元年」だったと言えるだろう。これまでは副業を容認している企業といえば比較的IT企業が多かった印象ではあるが、昨年からエイチ・アイ・エス(HIS)、ユニ・チャーム、そして新生銀行など、幅広い業界で副業が解禁されるようになった。

日本で「副業」が注目集める理由

昨年が「副業解禁元年」となったのには、大きな理由がある。それは1月に厚生労働省が行った「モデル就業規則」の改定だ。もともとは、戦後、旧労働省が作った就業規則の雛形の中で、副業に関する遵守事項として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という形で、原則禁止となっていたことに端を発している。

昨年の改定で、この記載が削除され、新たに「副業・兼業」という章が追加された。これには「勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」と、副業を容認するスタンスが示されている。つまり「原則禁止」から「原則自由」へと、180度変わってしまったわけだ。

最も、180度変わったからとはいえ、いきなりアメリカのような“副業大国”になるということはないだろう。それは、日本企業における雇用形態によるところが大きい。

モデル就業規則には、昨年「第14章」として設けられた「副業・兼業」という章には「事前に、会社に所定の届出を行う」ことによって「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と書かれている。だが、これは「労務提供上の支障がある場合」「企業秘密が漏洩する場合」「会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合」、そして「競業により、企業の利益を害する場合」においては、企業は副業の禁止や制限を行うことができるとされている。

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