日経平均は2万2100円まで戻る可能性がある 「条件付き」だが、到達するかもしれない

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一方、アメリカ株は強い。中央銀行の利上げ打ち止め観測や米経済指標の堅調さが確認され、足元のNYダウは2万5883ドルまで戻している(2月15日時点)。ドナルド・トランブ米大統領がメキシコの壁建設へ向けて「非常事態宣言」をするなど国内は政争がやまない。米中貿易戦争の行方もいまだ不透明。さらに3月初旬には再び米連邦債務上限問題が浮上する懸念も消えない。それでもNYダウがあと900ドル余り上昇すると、再び過去最高値(2万6828ドル、昨年10月3日終値)に手が届く。

前回のコラム「日経平均株価は重要な節目にさしかかっている」でも指摘したが、幸い出遅れていた日本株も戻りを強めつつあるようだ。「結局は米中首脳会談が開催され両者の歩み寄りがあるのでは・・・」との投資家の期待が先行。東京株式市場では売り込まれていた半導体や機械等の「中国関連株」も反発している。足元の日経平均株価はなお2万1000円台だ。2018年高値は2万4270円。「やはり戻りは弱い」とみるか、「戻り余地が残っている」とみるか。なお難しいところだ。

2万2100円まで売り圧力は限定的?

実際、国内経済指標を見ると玉石混交だ。だがテクニカル面で見ると、日本株の戻り余地は残っている。2019年2月に入って、下げ幅に対する3分の1水準(2万0860円)を上回り、自律反発(リバウンド)の域は脱した。信用買い残も2018年3月のピーク3.6兆円台から足元は2.4兆円台まで縮小、需給は改善している。

さらに短期トレンドを示す25日線が上向きとなっているなか、中期トレンドを示す75日線も上向きへ転じようとしており、短中期のトレンドが改善へ向かっている。長期投資家の損益分岐点といわれる200日線(約2万2100円)まで、売り圧力は限定的かもしれない。仮にアメリカ株の堅調さが続き、中国株が戻りを強めれば、日本株はもう一段の戻り余地はありそうだ。

最後に日経平均株価における重要な節目をあげておく(2月19日時点)
2万4270円 2018年10月高値
2万2565円 3分の2戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に)
2万2089円 200日線(長期線)
2万1713円 半値戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に)
2万1153円 75日線(中期線)
2万0860円 3分の1戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に)
2万0617円 2018年3月安値(米中貿易戦争懸念)
2万0764円 25日線(短期線)
2万0014円 2018年末値
1万9155円 2018年12月安値(原油急落など)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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