「公開自殺会議」で遺族が語ったそれぞれの過去 「自殺はダメ」とは言い切らない理由
『自殺会議』。
書店で目に飛び込んできた物騒なタイトルに思わず立ち止まる。
ムンクの「叫び」のようなイラストが描かれた装丁は書名に反してどこかポップだが、内容は家族が死を選んだ“自死遺族”や、自殺の名所とも呼ばれる東尋坊で身を投げる前に立ち止まらせる“用心棒”など“自殺”に関わる10人と著者の末井昭さんが対話を重ねた対談本になっている。
末井さん自身も子どものころ、隣家の男性と不倫に走った母親が、その相手とともにダイナマイトで心中した経験を持つ。
主催者は全員遺族
同書は発売後から反響を呼び、1月20日には、同書にも登場する作家の岡映里さんと画家の弓指寛治さんとともに、末井さんは東京・渋谷で『自殺会議』(朝日出版社)の刊行を記念したトークイベントを開催。客席がほぼ埋まるほどの人が集まり、3人の話に耳を傾けた。
実は、岡さんと弓指さんも、母親が自ら命を絶っている。
「母が病院から飛び降りたと姉から電話を受けたのが2005年9月6日の朝でした」
イベント冒頭のあいさつで、そう話したのは岡さんだ。新潮社の月刊誌『新潮45』(2018年10月号で休刊)の編集者として働いていたころ、徹夜で仕事を終え、自宅に帰って眠りにつこうと思った矢先に母親の訃報を知った。