大阪の「ゴミ処理場」に中国人富裕層が行く理由 大都市を訪れるリッチな訪日中国人の攻略法

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先日、顔真卿展に行った日本人の友人は、「待ち行列の8割は中国人だった」とびっくりしていた。グッズなどもたくさん買い上げ、お土産として渡すと、友人たちには非常にメンツが立つようだ。さらに、金沢21世紀美術館やteamLab(チームラボ)のミュージアム、草間彌生美術館などのチケットをゲットするため何カ月も前からネットで代理予約してもらい、アート巡り旅をプランニングしている。なぜ、彼らは美術館、展覧会が好きなのか?

買い物・観光から文化・芸術へ

文化・芸術に関心が高まっているのは、富裕層を代表とした中国人の若者が、マズローの欲求5段階でいうところの承認欲求を満たされ、自己実現欲求が少しずつ湧いてきているからだと見られる。「自分は絵を描けないかもしれないが、世界の名画を見る自分が好き」「できるだけハイレベルなアートセンスを取り入れたい」という心理が働いているといえる。

また、美術館に行くために、いろいろ下調べする。そのプロセスを通して、自分の鑑賞力も高まり、楽しみも増える。「日本の美術館は、とてもセンスがよい。レイアウトから作品まで、欧米と違って、見る人目線で考えていると感じる。特に東京の美術館は、1週間いても見きれず、飽きもこない。いつもネットで一生懸命次の美術展の情報を集めて、来日の日程を立てている」という若い富裕層が多い。つまり、外見から心まで「洗練」されつつあるのである。

実は美術展めぐりブームは、大衆の若い訪日中国人(「文青」)まで広まってきている。大都市の美術館は、利便性が高く、周りの商業施設での買い物を組み合わせると、相乗効果があるだけでなく、リピーターの確保にも繋がる。しかし、中国人は、日本の美術展の情報収集に非常に苦労し、チケット予約にも困っているのが現実である。美術展での多言語対応も遅れており、改善する余地があるだろう。

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