無限に働く生活をやめるための「5つの視点」 「自ら考えて動ける人」になるための方法

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僕はすぐに答えられず、ひと晩考えて翌日、生意気にも、その上司に次のように答えた記憶があります。「ひと晩考えました。今の僕はたしかに仕事ができません。でもこの会社は『出口は大学で勉強してきたので、1年後くらいには上司と同じくらい仕事ができるようになるかもしれない』と期待して、給与を高くしているのではないでしょうか」。

実際、それから頑張って1年後には上司と同じくらい仕事ができるようになったと思います。その分、「これは何のためにやるのですか?」「なぜ、こうするのですか?」と上司を質問攻めにして、ずいぶん迷惑をかけたのではと、今では深く反省しています。でもその結果、自分で納得して腹落ちして仕事ができたので、仕事を早く覚えることができたのです。

視点③ 「枠」や「制約」の中で考える

そもそも人間はナマケモノなので、たくさんの時間を費やすよりも、「上限枠」や「規制」を設けたほうが時間当たりの知的生産性が高まります。そうしてはじめて、工夫をし始める動物なのです。

「いくらでも時間がある」と思うと、必死に仕事をする気にはなかなかなれません。そのため、残業をなくしたければ、残業しないことをルール化してしまう(強制する)のも1つの方法です。極論ですが、残業をなくすもっとも効果的な方法は、「退社時間になったら、強制的にオフィスの電源を切る」ことです。すると、余計なことを考えている暇がないため、集中して考えるようになります。

時間当たりの生産性を高めるには

たくさんの時間を調査や検討などに費やすよりも、「上限枠」や「規制」を設けたほうが、間違いなく時間当たりの知的生産性は高まります。

僕は、「労働時間を減らしたほうが、生産性は上がる」と考えています。「上限枠を設けて労働時間を減らすと、生産性が下がってします」という考えは短絡的です。例えば、年間2000時間働いていた人が、年間1400時間しか仕事をしなかった場合、単純計算では、生産性が70%に落ちることになります。

生産性が70%に落ちると、給与は30%減ることになる。給与の減額を受け入れたくなければ、「1400時間で2000時間と同じ(あるいは、それ以上)成果を出せるよう生産性を上げる」しかありません。「定時に帰る」ことを最優先に考えれば、非効率な仕事や意味のない業務を見直すようになるため、時間当たりの知的生産性は高まるはずです。

視点④ 「数字、ファクト、ロジック」で考える

次に、成功体験に頼らないこと。数字、ファクト、ロジックを踏まえたうえで、ゼロベースから新しく発想することが大切です。エピソードよりもエビデンスに基づいて考えるのです。

今の企業に求められているのは、黙々と働く企業戦士ではありません。スティーブ・ジョブズのように自分の頭で考えることのできる尖った人材です。ジョブズのように新しい挑戦を始めるときは、成功体験を忘れて、ゼロ(原点)から考えられるほうが、成功の確率は高くなると思います。

そのためには、現状や世の中を素直に見る力が大切です。その要諦は、「数字、ファクト、ロジック」で考えること。そうすることで、物事の全体像を捉え、ゼロベースから新しく発想することができます。

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