「日米関係」に不穏な空気が漂い始めている理由 安倍首相が考えるほど安定していない
こうした報道は日本政府関係者を警戒させたに違いない。外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は2月上旬、北朝鮮での2日以上にわたる会談の後、アメリカ北朝鮮担当特別代表スティーブ・ビーガン氏に会うためソウルへ急行した。
安倍首相と菅内閣官房長官は、日米首脳会談が米朝首脳会談の前に行われると強調しているが、日本政府幹部たちはこの会談が日朝首脳会談にほぼ影響を及ぼさないことをわかっている。ある外務省幹部は、「北朝鮮については、われわれは蚊帳の外だ」と語る。
トランプ大統領の中で日本の存在感が薄まっていることこそ、日本の政府関係者が声をそろえて米朝首脳会談でもたらされかねない危険な交渉結果について語る理由だろう。
ある自民党幹部は最近の日米安全保障専門家の会合で、北朝鮮は長距離ミサイル取引の可能性を使って日米間にくさびを打ち込もうとしていると述べ、「もしアメリカがそれを受け入れれば、日米間に分裂が生じるだろう」と警告し、「非常に危険だ」と語った。同幹部は、アメリカは米朝首脳会談では、配送システムや核分裂性物質生産施設だけに焦点を当て、核兵器そのものに焦点を当てていない、どんな合意も拒否すべきと主張した。
広がる中国の脅威に対する「認識格差」
もう1つの懸念は、米中通商交渉、およびおそらく来月行われる可能性のある米中首脳会談である。
昨年10月にマイク・ペンス副大統領が中国との対立を強める声明を出したとき、多くの日本の政府関係者や評論家がペンス副大統領を支持した。安全保障の分野では、日本の政府関係者は中国によってもたらされている脅威に同様の考えを持っている。そして、何か起こった際には、中国の軍事力増強や太平洋への積極的な展開によって引き起こされる脅威に対してアメリカの対応がいかに遅かったかを指摘しようと考えている。
しかし、中国との経済戦争については、ある日本の政策学者の言葉によれば、「認識格差」が広がっている。知的財産権やテクノロジー保護といった点に懸念を抱いているものの、多くの日本人は中国との広範な対立という考え方には不安を抱いている。
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