人前で緊張する人は自分の「期待値」が高すぎる ハードルを下げ、安全ネットを張るのがコツ

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筆者自身のあがり症問題の根幹にあるのは、自分に望む水準と、自分の実力の乖離だった。そして、あがり症に悩む多くの方とレッスンをしていて気がつくのもまた、自分自身の技術的水準の冷静な評価ができていないという問題だ。

「こんなふうなパフォーマンスを実現したい」

「これくらいできる必要がある」

「こういうミスはダメだ」

など、意識せずとも当たり前に考えていることを一度ゆっくりと眺めてみてほしい。

それが、自分自身に対して持っている期待値であり、期待というのは良くも悪くもプレッシャーなのだ。

緊張やあがり症に悩んでいるのなら、この期待値が高すぎる可能性がある。他者からの期待についても同様で、他者からの期待を感じたときに、自らにもそれを課す時点でもう自分から自分にかけているプレッシャーである。

プレゼン、司会、あるいは何げないあいさつの言葉。どれをとっても、その本質は「メッセージの共有」である。もちろん、さまざまな技術が付随するが、技術の発揮は目的ではなく手段だ。

だから、手段たる技術(=実力)水準がどうあるべきかという自分の期待や他人からどう思われるかを、コントロールしようとすることに注力してしまうと、伝えたいことを伝え、メッセージを共有するという目的を見失ってしまい、備えているはずの技術もうまく発揮できなくなってしまう。それを防ぐためにコミュニケーションそのものに注力する必要があるのだ。

まずは期待値を徹底的に現実的なものにしよう。むしろあえて下げるくらいがいいだろう。

暴力的に誠実に

英語で、 Brutally honest という言い回しがある。直訳すれば「暴力的に正直に」。緊張やあがり症に悩む人は、自分自身のパフォーマンスに関して Be brutally honest with yourself = 暴力的なまでに自分に正直になってみよう。

・ 目指す水準はあるが、それを一度でもクリアできたことはあるか? なければ、その水準を期待してはならない。
・ ミスはしたくないだろうが、準備は十分にできているか? 完璧な準備をしていないのなら、完璧なパフォーマンスを期待できない。
・ 自分の実力は、本当のところどの程度か? 冷徹に判断しよう。

こうすることで、自らに過大な期待をすることを手放し、プレッシャーを減らすことができる。それこそが最善のパフォーマンスに役立つ。

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