東海道線「村岡新駅」構想、藤沢ー大船間に浮上 損得勘定は?土壌から防災まで課題も山積
一方で、「村岡と深沢がしっかり一体開発されて、藤沢・鎌倉両市が首都圏で発展するコアの地域として生き残っていくことを望んでいる」と話すのは、深沢開発地区の東側に湘南深沢駅がある湘南モノレールの尾渡英生社長だ。新駅設置により、モノレール利用者数がどの程度増えるかは予測しづらいが、「深沢には広大な土地があって、長年利用されていない状況。新駅ができて人々の移動が楽になり、さまざまな施設や企業の誘致等による人口増加や経済効果も期待されるならば、反対する理由はない」とする。
深沢エリアの地盤の脆弱性については、尾渡氏も熟知している。湘南モノレールは各駅のバリアフリー化工事を進めており、湘南深沢駅も上り専用ホームを新設して各ホームにエレベーターを設置する工事計画を立てている。当初2018年に着工予定だったが、かなり深く杭を打たなければならないことがわかったため、着工時期を延期した経緯がある。
「湾岸エリアなどには、液状化の危険が指摘されている場所はたくさんある。要はリスクとリターンの兼ね合いの問題だ。鎌倉・藤沢エリアでこれだけ広大で空いている土地は希少。たとえ、工事費がかさんでも、収益が見込まれるならば事業を行う企業はたくさんいるのではないか。また、治水対策はもちろん必要だが、それはそれとして解決すべき問題だ。浸水の危険があるために開発をやめるというのならば本末転倒に思える」とする。
新駅を軸とした道路整備も必要
なお、多くの人が口を揃えて指摘するのが、周辺道路の整備の必要性だ。新駅を有効に機能させるならば、バス網の整備が不可欠となるなど、周辺道路の交通量が増加するのは間違いない。しかし、藤沢・鎌倉の県道は、今でも日常的に渋滞が発生している。
この点について長嶋氏は「新駅を中心に道路網の再編が必要。県道の拡幅や交差点の整備を行わず、シンボル道路だけを通せば大変なことになる。また、藤沢から横浜の釜利谷(かまりや)まで延伸予定の圏央道(横浜環状南線)が2020年に開通すれば、今後、物流などの車もますます増える。開発地周辺には歩道のない道もあり、混雑だけでなく危険も増す」とする。
また、尾渡氏は、「村岡・深沢エリアをさらに有効に活用するならば、横浜環状南線の支線を持ってくるくらいのことが必要。同エリア内に大きな駐車場を用意し、観光客の皆さんに利用してもらえば、市街地の渋滞対策にもなる」と、大胆な施策が必要なのではないかとする。
およそ30年も続く、村岡新駅構想は今回の動きで日の目を見るのだろうか。現在のスケジュールに従うならば新駅が開業し、周辺の整備が完了するのは、最短でも10年以上先のことだ。
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