ねとらぼ「月間1.8億PV」を生む現場の熱い裏側 漫画村の調査報道はいかにして生まれたのか
――さまざまな記事が配信される中で、「ねとらぼ」らしさを表現するために配慮していることはありますか?
繰り返しになりますが、心掛けているのは読者の役に立つことで、それを伝えるためのキャッチーなタイトル付けにはこだわっています。どんなに面白い内容であっても、タイトルでそれが伝わらなければまず読んでもらえないので。タイトルだけで読者を釣るようなことはしませんが、本当に面白い記事であれば、必ずその内容を短いセンテンスにまとめられるはずなんですよ。
タイトルの見せ方は慎重に考えている
――しかし、良いタイトルを考えるのは、非常に難しいことです。
そうですよね。基本的にはSlack上でやりとりをして、どうにかそれらしいタイトルにまとめるのがいつものパターンで、メンバーの中には“タイトル神”みたいな手練がいます。数名でどれだけ頭をひねっても、どうしてもしっくりいくタイトルが思いつかない時は、「タイトル神~!」と呼ぶと降臨してくれます(笑)。
一時期、「ねとらぼ」が好んで使っていた「爆誕」という言葉にしても、そうした過程で出てきたワードでしたが、これは乱用しすぎて「最近、『爆誕』の価値が下がって来てない?」と問題になりました。そこで急きょ、「爆誕検討委員会」というのを作って、それが本当に「爆誕」を使うに値する記事なのかどうかを審査したりもしていましたね(笑)。
※見出しに「爆誕」がついた記事の一例…店内全部「餓狼伝説SPECIAL」! 名古屋にまさかの「ガロスペ専門ゲーセン」爆誕、オープンの理由を聞いた
――なるほど、キャッチーなタイトルの陰には、さまざまな努力があるものですね。
ほかにも、なるべく2行以内で表示されるに収めたほうがひと目で理解しやすいとか、漢字が多すぎて黒っぽく見えるのはやめようとか、クリックしてもらうためのハードルをいかに下げるかなど、タイトルの見せ方を常に考えていますね。
――なぜ今その記事を出すのか、タイミングについて考慮することは?
企画者が今それを提案してきたのであれば、今である必然性が何かしらあるのでしょうから、その点はあまり気にしていません。ただ、「漫画村」のように長く追ってきたネタであれば、タイミングを見計らうことはあります。
――では最後に、「ねとらぼ」がメディアとして守っている信念があれば教えてください。
一見ふざけているように見えたとしても、「ちゃんとする」ことでしょうか。デマやフェイクニュースの流通に加担するようなことはしませんし、取材先や著作権者に対しても真摯(しんし)に対応するなど、メディアとして当たり前のことを徹底しています。その上でわれわれは7年間、ずっとマイナーな存在として続けてきました。
今後もできるだけ読者の役に立つ情報を網羅して、ネット上で話題になっていることは「ねとらぼ」を見ればわかる、と言われるようなメディアであり続けるのが理想的ですね。
(取材・文:友清 哲/編集:ノオト)
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