国会質問は出来レース?「進次郎神話」の限界 切り込み隊長役に浮上する「小泉厚労相」説

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そのあと、持論の国会改革で首相や菅義偉官房長官、河野太郎外相とのやり取りを続けた小泉氏が本題の統計不正に斬り込んだのは午前11時前。「この問題が起きるまで、誰もがこんなに統計のことを考えることはなかった」と委員会室を見回した上で、厚労省幹部が昨年12月20日に毎月勤労統計の調査方法に不正があったことを大臣に報告しながら、翌日に同調査の確報を発表するとの日程を伝えなかったことを取り上げ、「危機管理上アウト。構造的なガバナンス欠如だ」などと厳しく批判した。根本匠厚労相も「(確報まで)思いが及ばなかった、申し訳ない」と殊勝な表情で陳謝した。

小泉氏の歯切れの良い口調での質問ぶりに、当初は閣僚席も含め委員会室はシーンとして聞き入った。しかし、小泉氏が「民間だったら許されない。厚労省はこのまま歩み続けるのか」と声を荒げながらも、厚労相の責任問題については「大臣が変わって済む問題とは違う」と援護射撃に回ると、野党席から「おかしい」などのやじが巻き起こった。

小泉氏が「(不正が続いた)15年間で13人の厚労大臣がいる。自民8人、民主4人、公明1人だ」と続けると「その通り」「そんなことは分かっている」など与野党双方のやじで、委員会室は騒然となった。

厚労相答弁を通訳する場面も

小泉氏は根本氏に対して「厚労省の改革にしっかり旗を振ってほしい」と激励。同氏も「先頭に立って厚労省のガバナンスを確立するのが私の責任」と続投宣言した。国会召集に先立つ自民党厚労部会での同省へのヒアリングでは「厚労省(の組織)は回っていない」と厳しい言葉を投げつけ、「解体的出直し」や「厚労相の責任」にまで言及していた。それだけに、この質疑に野党席から「見損なった」などのやじが飛んだ。

割り振られた45分間の質疑の中で小泉氏は、最優先課題として雇用保険などが過少給付となった約2000万人(のべ人数)への追加給付の手順を質し、厚労相も具体的な日程などを明らかにした。小泉氏は「ある程度のスケジュール感は明確になった」と自賛したが、事務方が作った小難しいメモを読む根本氏の答弁を、わざわざ「こういうことですね」と通訳する場面も多く、「事前調整による出来レース」(共産幹部)との批判も招いた。

当初、予算委での自民党質問のトップバッターに予定されていた小泉氏が、直前に3番手に繰り下げられたのは「補正予算質疑の優先」(自民国対)が理由とされるが、昨年9月の総裁選での石破茂元幹事長への支持表明をめぐる言動などで、党内に「小泉批判」の空気が広がっていたことが「順番繰り下げにつながった」(自民若手)との見方もある。

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