ジャカルタ進出、ルミネが駅を飛び出した狙い

「東京」をアピール、駅には「たまたま」隣接

「東京」を前面に出しているというルミネジャカルタのフロア(筆者撮影)

それでも、社会事情はシンガポールとは異なる。佐山氏は、ルミネの中でも、シンガポールは「ルミネエスト」(新宿駅東口)や「ルミネ新宿」のMD(商品)を参考に、ジャカルタ店は「ルミネ新宿」や「NEWoMan」(新宿駅南口)のMDを参考に展開していると説明する。つまり、ジャカルタのほうが商品価格帯が高く、年齢層もやや高いところをターゲットとしているわけだ。

これは、ファストファッションと高級ブランドとに二極化し、その中間が空白というインドネシアのファッション事情を反映しており、この認識はプラザインドネシア側とも一致し、商品選定については、スムーズに進んだという。また、シンガポールに比べ、より「TOKYO」というものを前面に出しているそうだ。

都市鉄道の発展にチャンス

さて、このようにターゲットがやや富裕な層となると、仮に店舗があるビルの前に駅が開業しても、すぐには「電車に乗ってお買い物」という機運には至らないだろう。この点については、日本のブランドを増やしたいというプラザインドネシア側からの強いオファーがあって入居を決めたもので、MRT駅前に店舗を構えたというのは偶然だったという。

ルミネジャカルタが入る「プラザインドネシア」の前ではMRTの駅が工事中だ(筆者撮影)

とはいえ、JR東日本グループは海外事業として、MRT南北線事業の運営管理支援、またインドネシア通勤鉄道(KCI)への技術支援という実績があり、ある意味でジャカルタはJR東日本の東南アジアの基点となりつつある。

ルミネの進出も、やはり同社グループの地盤がすでに存在するといった面も少なからず影響しているように感じられる。もしそうであるならば、これを機にジャカルタが東南アジアにおけるJR東日本グループの戦略的地域となり、ほかの関連企業の展開もありうるのではないかと筆者は思う。

ジャカルタ首都圏への人口集中は顕著で、人口密度は東京と肩を並べる。すでにKCIが運行する総路線長約220kmの通勤鉄道網があり、1日の利用者数は100万人を超える。そして今年春にはMRTが開業予定で、高密度運転を行う都市鉄道の存在は大きなビジネスチャンスといえる。今後の駅ナカ・駅ソト開発にも期待したいところだ。

また、ジャカルタ中心部から15kmほど南方のタンジュンバラット駅前には、ジャカルタで4店舗目となるイオンモールの建設が進む。当地のイオンモールとしては初の駅直結型の店舗で、2020年の開業を目指している。こちらの動向も注目される。

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