ジャカルタ進出、ルミネが駅を飛び出した狙い 「東京」をアピール、駅には「たまたま」隣接
JR東日本は昨年7月に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」で、海外事業について「国際事業のビジネスモデルを確立し、アジアを中心に、より豊かなライフスタイルを提供していく」ことを示し、これまでの鉄道事業だけにとどまらない指針を打ち出している。
だが、現在JR東日本グループが実施している海外事業、また駐在事務所の設置は、グローバル人材の育成やマーケティング調査などの意味合いがまだまだ大きい。というのも、海外業務をこなせる人材が不足しているからだ。
大学生の就職人気企業ランキングでは常に上位に位置するJR東日本であれば人材の確保に苦労はないように見えるが、学生に本音を言わせれば、人気の理由は安定性に尽きる。これは鉄道事業者全体が抱えるジレンマであると考えるが、優秀な人材といえども、どうしても地元で一生働きたい人間が多く集まる傾向になる。
そこが鉄道業界の内向性と指摘されるゆえんでもあるが、関連事業で幅広い領域をカバーするJR東日本は、グループ企業への出向、また人材交流の機会が多くあり、海外事業においてもこのようなスケールメリットを活かすことができるのは大きな武器だ。
鉄道以外の海外展開も推進を
そういう意味で、今回のルミネのジャカルタ進出は、単に日本の文化発信というだけでない大きな意義がある。「ルミネの強みは、スピード感と修正力だ。まず開店して、修正しながらプラスにしてゆく」と鈴木和馬営業本部業態マネジメント部長は語る。
特に海外出店の場合、日本国内の各店舗が不動産賃貸業であるのと真反対の、直営店スタイルを取っている。ルミネ自身がよい商材を集め、売り切らねばならない。この部分は大きなリスクではあるが、挑戦でもある。佐山氏、鈴木氏はともに、このようなスピード感や臨機応変さはほかのJR東日本グループの企業と比べても、ルミネならではという。
昨年10月末、JR東日本のグループ会社である日本レストランエンタプライズ(NRE)が2016年に引き続き、パリ・リヨン駅に駅弁屋を出店し話題になったが、このように鉄道会社の海外展開は鉄道本体に限る必要はなく、できるところからまずやってみる精神で、外向きな社員づくりの推進も必要といえる。そうすれば、JR東日本をはじめとする日本の鉄道会社が、生活サービス産業の分野でも海外各地に根差してゆく日が近いかもしれない。
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