ドコモタワー、「使われないアンテナ」の秘密 災害時に電波をつなぐ大ゾーン基地局とは?

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これが大ゾーン基地局(撮影:今井康一)

大ゾーン基地局は人口が密集し、警察や消防、病院や都道府県庁といった重要な施設がある地域を中心に配置されている。

カバーする範囲は半径7キロメートルで、通常の基地局(数百メートルから数キロメートル)よりかなり広い。想定しているのは首都直下型地震だ。カバーするエリアの40%程度の基地局が倒壊もしくは故障などでサービスが提供できない状況になったときに補助的に発動させる。

ちなみに、アンテナから飛ばすのは高速通信のLTEではなく3Gの電波で、主に800メガヘルツの周波数帯だという。

設置には厳しい条件が求められる。地震に耐える建物の堅牢さはもちろん、より遠くに電波を飛ばすための高さが必要だ。また、停電時でも安定して電源を確保するため、自家発電設備もしくは大型のバッテリーが必要となる。そのため、高層ビルの屋上やアンテナ設備の鉄塔などに設置されるケースが多い。

全国104カ所に設置

都内では、ドコモ代々木ビルのほかにドコモ本社が入居する山王パークタワーなどに設置されている。全国では104カ所あり、ドコモはこれを1年足らずで整備した。「とにかくスピード重視というトップの指示で、設置場所の確保を優先して進めていった。エリアごとの電波の調整は後回しだった」(サービス運営部の小野田穣主査)。

設置後も、運用面での改善は続いている。既存のシステムにどう組み込めば運用しやすいか、各部門の担当者で議論を重ねていったという。今では、基地局の被害状況を反映し、どの地域のどの大ゾーン基地局を発動すれば通信可能なエリアを作れるか、といった判断も自動でできるようになっている。止まらない通信設備を目指し、進化は続いていく。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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