「女子アナ」の役割と闘って得た本音の生き方 小島慶子さん「もうすぐ女子アナは絶滅する」

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そして2004年の分社後は、アナウンサーも子会社採用に。TBSも2005年採用組からついに建前を捨てて本音に切り替えました。給料は以前の7掛けほどになり、アナウンサーの身分が保証されるのも入社後3年間だけと聞いています。若い女子アナを回転よく使いたいから、人気の出ない人は異動してねという本音を前面に出した形ですね。長い目で育てる気はないですよと。

私が入社した頃は、新人女性アナへの「処女信仰」がありました。基本的には“画面ヴァージン”が望ましいと。ミス名門大や『週刊朝日』の表紙になった子ならいいけれど、商業的なミスコン出身者はNG。ましてや芸能活動をしていたスレた子なんて論外という感じでした。志望者はそうした経歴を必死に隠したものです。

でも今は、元アイドルや学生時代に芸能活動をしていた人を積極的に局アナに採用するようになりました。コストをかけて自前で育てるより、すでに知名度があるほうが即戦力になるという本音を隠さなくなったのですね。

女性アナ志望者が局に求めるものも変わった

採用サイドが建前を捨ててからは、女性アナに求められる資質が変わったと同時に、アナを志望する学生たちの目的も変わっていきます。以前は、高待遇の終身雇用で社会的信頼もあり、親も納得する仕事だからという理由で志望して、運良く売れっ子になったごく一部の人だけがフリーになって飛躍するという形でした。

それが、今はそもそも長居する気はなく、フリーになるための実績づくりとして局アナになる人が多いのでは。逆に、10代でアイドルをやった女性が落ち着く先として局アナを選ぶことも。今や局アナは、アイドルの再就職先であり、タレントの養成所でもあるのですね。もし人気が出なくて異動になっても高給取りのサラリーマンという身分は保証されるという保険付きです。

いずれにしろ職人を目指して定年まで頑張るというタイプは、会社ももはや女性には求めていないのでしょう。社員に高い人件費を払ってニュース読みを教えるより、フリーアナの事務所に発注したほうが効率よく、人材の“鮮度”も高い。しかしそれというのもそもそも女性アナに求めるものが「画面の華」だからです。

学生と企業の思惑が一致しているという点では建前と本音の二枚舌だった頃よりもいいのかもしれませんが、むしろこのことによって女性アナの役割の固定化が進んでいることを懸念しています。

この経過は、CAに似ていると思います。昔のスチュワーデスは空港まで黒塗りで送迎がつくような、超エリート。でもそのステータスは時代とともに下がっていきました。今はまた正社員化が進んでいるけれど、景気の悪いときには契約社員制になって、CAの肩書は単なる婚活道具のように言われて……一見華やかに見えるけれど、もうCAを特権的な仕事とは誰も思わなくなりましたよね。

私は、CAの変化を横目で見ながら、「局アナもいずれこうなる」と思っていましたが、本当にそうなりました。男女平等意識が浸透して、男性社会の接待係という設定は、女性から見て特権的ではなくなってきていますし、テレビ業界自体もかつてほど人気がなくなっていますから、視聴者が昔の局アナに感じたような憧れは、もうないんじゃないかな。今は「もうすぐ女子アナという存在は絶滅するだろう。してしまえ」と思っています。

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