アサヒビール、「555mlジョッキ」革命の勝算 ジョッキ容量拡大し、一杯目需要を取り込み

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競合メーカーからは、「そもそも肝心の飲食店側のウケがあまりよくない」との指摘もある。導入した飲食店は価格が変わるので、今まで使っていたメニューを変える必要がある。多くの店舗を抱えるチェーン店はその負担が大きく、「導入に二の足を踏む飲食店が少なくない」と競合メーカー社員は話す。

「居酒屋では消費者は2杯、3杯とビールを飲み続けない」ことが前提になっているアサヒの戦略に対し、業界2位のキリンビールは対照的な動きを見せる。

キリンは今年4月に旗艦ブランド「一番搾り」をリニューアルする。2017年以降、2年ぶりの刷新で、「麦とホップの配合を調整して飲み飽きない味を目指した」(キリンビールの山形光晴マーケティング部長)。同社は業務用ビールの戦略については明確にしていないが、「飲み飽きない」を追求していることから、飲食店でも「2杯目、3杯目需要を狙い続ける」構えだ。

家庭用ビールもテコ入れ

ビール大手は業務用だけでなく、家庭用の展開にも力を注ぐ。中でも、もっとも安価な「新ジャンル」=第三のビールは、各社がしのぎを削る主戦場になっている。アサヒビールは「極上」を1月に投入。サントリーは「マグナムドライ」、サッポロは「本格辛口」を4月に販売する。キリンは昨年投入した「本麒麟」を拡販する計画だ。

今年10月に予定されている消費増税を機に低価格志向が強まり、安価な新ジャンルにアルコール需要がシフトすることが見込まれる。ビール大手は新製品投入で、需要の取り込みを狙う。

業務用と家庭用で、需要底上げを狙う各社。2019年は「15年連続市場縮小」を逃れるか。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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