若者が理解しない「よく怒鳴る上司」の真の意図

社会人が覚えておきたい「正しい怒り方」

例えば、猫は普段あれだけ敏捷に動き回りますが、突然大きな音がするとびっくりしてフリーズしてしまう。あと、道路を横断している最中に車が迫ってきたときなども、そのまま動かなくなってひかれてしまう。

猫だけじゃなくほかの動物でも、危機的な状況になると仮死状態になるものもいます。ウサギなんか思い切りつかんだり、脅したりしたら死んでしまう。なぜかというと、肉食獣に捕まったらウサギは絶対に助からない。そこで、捕まった時点で苦痛を感じないために自ら心臓を止めてしまうといいます。

人間も動物ですから、大きな声で怒鳴られると身の危険を感じてフリーズする。ギュッと身を縮めて自分を守ろうとするのです。

昔の職場では、1人や2人必ず大きな声で怒鳴る上司がいました。怒鳴られるとその瞬間は凍るのですが、そうやってフリーズさせることが必要な場面がある。例えば工事現場などで明らかに誤った操作をしていて危険なときには、怒鳴ってフリーズさせてその操作を止めさせる。そして体で覚えさせなければいけない。

極端な状況ですが、戦場などの生死を分ける場面では、間違った行動や危険な対応をする兵士に理路整然と説明している暇はありません。自衛隊の訓練などでも一歩間違えたら命に関わりますからね。部下がおかしなことをやっていたら怒鳴ってフリーズさせるわけです。

よく怒鳴る上司の本当の狙い

それ以外にも、上司が部下を戦略的に怒ったり怒鳴ったりするケースがあります。例えば部下が取引先とのやりとりでミスをしてしまった。何とか取引先に謝り穏便に済ませたいときにどうするか。

こういうときに直属の上司が出てきて、取引先に謝りながら、彼らの前で部下を怒鳴りつける。「なんてことをしでかしたんだ!」などと言ってボロクソに怒鳴る。すると取引先の人は「まぁまぁ、部長さん、そんなに怒らないでください」と、「悪気があったわけじゃないんだし」と何とか収めてくれる。

それを狙っての一種の芝居なのですが、怒鳴ることでその場が収まる場合もあるわけです。上司は一見部下を怒鳴って攻撃しているようですが、実は結果的に部下を守っている。こういうことって、よくあるのではないでしょうか。

ですから上司が怒っている場合、どの怒りなのかをまず冷静に判断しなければなりません。神がかり的な怒りなのか、あるいはフリーズさせるための怒りなのか、はたまた戦略的でお芝居的な怒りなのか。

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