年収や規模を知るだけの「企業研究」は間違いだ 人事が語る「本当に知って欲しい会社の中身」

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そして、顧客に何を提供して喜ばれているのか? そもそも物を作っているのか、他社が作ったものを販売しているのか、それとも物ではなく、企画やサービスを売っているのか? またそれは、高い価格なのか、安い価格なのか? 企業概要には、事業内容に「製造・企画・販売」と書いてあっても、実際は、製造や企画は一部だけ行っていて、販売がメインの企業かもしれません。何をどこまで製造、企画、販売している企業なのかを知る必要もあるでしょう。

このように、顧客と顧客に提供している商品・サービスの実態を調べることで、まずは「何屋さん」なのかを把握し、何故顧客は、その商品・サービスを、その企業から買うのかを考えることで、その企業の「他社との違い=強み=価値」が見えてきます。

その企業が、顧客に提供している価値は何なのか。その顧客に選ばれる価値を、どのようにしてつくっているのか。単純な「つくり方」ではなく、その価値をつくり上げるまでに、どのような組織、人たちが関わり、どのような工夫、努力をしているのか。学生には、そのプロセスや思いを知ってもらったうえで、一緒にその価値をつくりあげる適性や強い気持ちがあるかを考えてもらって、選考に向かってきてほしい。そう考える人事は多いと思います。

企業の強みや価値を把握したうえで来て欲しい

ただ、実際に企業で働いた経験がない学生に、そのような価値の中身を理解してもらうことは、決して簡単ではありません。学生が直接触れる商品やサービスを提供している企業の価値を理解することは、さほど苦労することはないでしょう。しかし、学生が接することがない商品やサービスを提供している企業、いわゆるB to B(企業同士が取引相手)の企業の価値を学生が理解することはなかなか難しいかもしれません。

一方、多くの学生が興味を抱く企業の情報は、人気や認知度、ブランド力、さらにはその業界内でのランキングやポジション、企業規模や、売り上げや利益の大きさ、成長率、勤務地、給料、労働時間、福利厚生が充実しているかどうか、社会貢献活動などなど……。本当の企業の価値とは違う、表面的な情報ばかりです。

これらの情報が大事ではない、とは言いません。就職先を決めるには、必要な情報であることは間違いありません。ただ、これらの情報を知ってもらっただけでは、本当にその人がこの企業に合う人材なのかを判断しにくいのです。

人事担当者としては、企業研究でその企業の強みと価値、そしてその価値をつくる思いやプロセスをつかんでもらい、自分がどう関わりたいと思うか、自分の能力を活かしてどう役に立てられそうか、今後成長してどう役に立つようになりたいかを、企業側にアピールできるようになってもらいたいのです。「面接を受かるための語り」ではなく、本当の思いで語れる形にまでしてもらえると、かなり違う目で人事担当者も見てくれるようになります。

もし自分で調べても、その企業の価値がよくわからなければ、「御社の強味を教えていただけますか」と、人事や出会った社員に聞けばいいと思います。そうした質問することも含めて、企業研究であるという気持ちでよいと思います。

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