アップル減益決算で見えた「好感と悲観要因」

「高付加価値路線」と収益の多様化を進める

10年ぶりの減収減益となったアップルだが、iPhone以外の製品の売り上げは伸びている。写真は昨年10月、ニューヨークで開催された新製品発表会(筆者撮影)

アメリカのアップルが1月29日に発表した2019年第1四半期(2018年10~12月期)の決算は、同期としては10年ぶりの減収減益となった。しかし、あらかじめ予想されていた範囲を超えるものではなく、また第2四半期のさらなる不振への懸念は後退した。

最も懸念されていたiPhoneの売り上げは、台湾・香港を含む中国語圏の売上高が、前年同期比で27%減の約132億ドルと急減。業績不振のほとんどは、iPhoneの中国市場における売り上げ減少による。

中国語圏を除く地域では711億ドル(同約1%増)と微増ながら上回り、全体では同約5%減の売上高843億1000万ドルにとどまった。純利益は同0.5%減の199億6500万ドル。同時に発表した2019年第2四半期(2019年1~3月期)の業績予想も、売上高ベースで前年同期比3~10%減の550億~590億ドルと予想しており、さらに業績悪化が進むのではないかという悲観論は後退するものとみられる。

アップルの株価は昨年10月に233.47ドルの最高値を記録したものの、その後大きく下落。とりわけ下方修正時の下落幅は約18ドルと大きなものだが、その後、やや持ち直して直近は150~160ドルの間で推移していたが、発表後には夜間取引で株価は上昇しており、短期的には上昇する可能性が高そうだ。

iPhone事業の好感要因と悲観要因

中国市場における売上高の急減が、予想よりも影響が低かった理由はふたつある。1つは高付加価値路線で平均売価を高める戦略が奏功したこと。もう1つはiPhone以外の事業が伸びたことだ。

1月2日にアップルが業績下方修正を発表した際、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は投資家へのレターでいくつかのメッセージを出していたが、中でも注目したいのは同社の粗利率(グロスマージン)の高さだ。

アップルの粗利率は38%と、いまだに極めて高い水準が維持されている。これは2018年度の売上高、純利益を押し上げた主因でもあった、iPhone X投入による平均単価上昇が、2019年度の新しいラインナップからも引き出せているからだろう。

アップルはiPhone 8シリーズの後継機種を用意せず、その代わりにiPhone Xの製品ラインを拡張し、大型OLEDディスプレー搭載のiPhone XS Max、液晶ディスプレー搭載でカラーバリエーションを増やしたiPhone XRを追加。

ラインナップ全体を、旧来のiPhoneから、より付加価値の高いiPhone Xのバリエーションモデルとすることで平均単価の上昇を狙っている。2018年度第1四半期には約20%にも達していた中国市場で売上高急減があったにもかかわらず、高い粗利率を維持し、純利益がマイナス0.5%にとどまったのは、こうした“高付加価値路線”戦略がうまく進んでいるからと言える。

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