「泊まりで会議」が時代錯誤とは限らない理由 合理化の中で捨ててはいけないものがある

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とくに新任の責任者は直接会っておいたことが、

・相手の真意がつかめる

・円滑なコミュニケーションができ、やりとりがスムーズになる

など、その後の仕事に役立ったとの声があがっているようです。

さらに、集まって今年度の戦略を共有することで「今年も頑張ろう」という自覚を強める機会にもなっているようです。

ちなみに以前であれば自社で宿泊ができる施設を保有している企業がたくさんありましたが、バブル崩壊やリーマンショックで会社の資産を売却したケースも多く、宿泊型で行うには宿の手配が必要になります。そこで、宿泊施設の運営会社や手配するエージェントは大忙しとの話を聞きます。ビジネスチャンスが意外な形で広まっているのですね。

宿泊型にすることで人間関係の融和ができる

そんな宿泊型での研修や会議がどうして減らない(逆に増える)のでしょうか? そもそも、大きな組織においては経営幹部や管理職はお互い離れた職場にいることが大半です。双方で対話する機会はどうしても少なくなります。

ところが、ビジネスを加速させるためには、対話の時間は重要です。各組織で取り組む施策や課題や解決方法を共有する機会は意外に少ないからです。

あるいは日常ではライバル意識もあり、お互いに会話の糸口もないという対立関係にあるケースもあります。こうした距離のある人間関係を融和して、お互いが助け合う意識を高めるには直接に会って、話し合うことはとても効果的と言えます。

筆者も前職で宿泊型の研修や会議を活用する機会がよくありました。「よく」といっても、あくまで年初とか半期の始まりなど節目にということですが、幹部を集めて、意識を合わせて、意欲的に仕事に向き合うことをお互いに確認するわけです。日常の仕事に追われる環境を離れることで、こうした確認が実現できたと感じたことが何回もありました。また、参加した幹部社員たちからも

「宿泊型で行ったから、じっくりと議論ができた。お互いの思いが共有できた」

と効能を聞いたものでした。

同じように宿泊型で与えられた時間を活かして仕事で成果を出している経営幹部や管理職はたくさんいます。

取材した医療機器販売の会社で営業部長をしているSさんは、毎年行われる宿泊型の営業会議で、会議終了後に競合会社の動きや新製品の営業状況や新入社員の育成に関しての情報共有を行い、職場に戻って大いに活用しているようです。

ちなみに研修や会議の合間にゴルフや観光などレクレーションを兼ねた企画が以前は多かったですが、最近は予定をびっしり埋めたスケジュールで行われるケースが増えているようです。その点は筆者が前職時代と変わったようです。その当時は研修の終了後に周辺観光なども企画して組み合わせて行っていたと記憶しています。その点ではやや世知辛い気もしますが、時代の変化に合わせて宿泊型が活用されているのでしょう。

ちなみにせっかく宿泊でオフォスを離れた環境で行うのだから、周辺の寺院で座禅とか、自然環境を活用したフィールドワークでチームビルディングを学ぶなどの企画は人気が高まっているようです。前述したように、こうして宿泊型の研修や会議が増えて、人気の施設は予約が困難なケースも増えていると聞きます。活用するのであれば、早めの企画が必要かもしれませんね。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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