常識破りの「観光路面電車」は世界を驚かすか キャラそっくりの車両、5億円を投じて製造

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一方「おかでんチャギントン電車」は最近各地の鉄道で見られる観光用列車と同じく、この車両に乗ることを目的とした集客を行い、その付加価値に対して対価を得る形で運行する。その点で、ほかの観光客向け路面電車とは異なり、国内初の「本格的な」観光路面電車であるといえる。

(左)カーテンを閉めると車内は「チャギントン」で埋め尽くされる(右)座席には転落防止の柵があり、床にはモニターが埋め込まれている(筆者撮影)

この日は車内が初公開となったが、これまた実にユニークだ。至る所にチャギントンに登場するキャラクターが描かれており、座席はそれらのキャラクターを引き立たせる華やかな柄と暖色系の色合い。カーテンはなんと三重構造になっており、それぞれにチャギントンのキャラクターが描かれている。シチュエーションによって雰囲気を変えることを想定した仕様だという。

不思議な構造の座席、そのわけは…

座席には、観光列車では常識ともいえる1人ずつのシートの区分は見当たらない。さらに、座りやすそうな部分の背もたれに出っ張りがあったり、座面の手前に柵があったりして、どうみても大人の体では使いにくそうだ。

子どもの目線を意識して、座席下にもキャラクターが描かれている(筆者撮影)

この出っ張りについて、水戸岡氏は1~2歳の子どもが座ることができるようにしたと説明する。なるほど、素足でシートに上がり、この出っ張りに腰掛けると、子どもにとってはシートの座面が「床」になる。ちゃんと頭載せ(ヘッドレスト)もついているし、ひざを載せて窓の外を見ることもできそうだ。

そこで子どもが間違って転落しないように、シートが狭いところには柵も設けてあるほか、テーブルなどはぶつかってもけがをしないようにとすべて丸く面取りをしてある。床にはモニターが埋め込まれていて、チャギントンの映像を流すのだそうだ。子どもたちはシートも床面も関係なく車内を走り回ることだろう。ちなみに、チャギントンの対象は未就学児だそうだ。

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