実際のところ、インバウンド需要は昨年12月時点でほぼ通常レベルまで戻ってきているというが、観光客回復に向けた活動を行う関係者にとってヨーロッパ便復活の知らせは力強い後押しになっているに違いない。
2019年は折しも、日本とフィンランドの間で外交関係が樹立されてから100周年の節目の年となる。さらに、新千歳空港に国際線定期便が飛び始めてからちょうど30年を迎えた。「2月4日から開かれる恒例の『さっぽろ雪まつり』では、場内にフィンランド広場が特設される。外交関係樹立100周年記念行事の一環ではあるが、飛行機が飛ぶ前のタイミングのいいPRになると思う」(後藤氏)。
北海道としてはこれまでインバウンド客の旺盛な需要に積極的に応えてきた。後藤さんによるとインバウンド客の約9割が外国人訪日客ということだが、やはり日本人の海外旅行需要を増やすことが大きな目的として掲げられている中、欧州直行便は確実にゲームチェンジャーとしての存在感を持つことになるだろう。
需要はどの程度あるのか
北海道にとって欧州直行便が「悲願だった」とはいえ、集客が進まなければかつてのKLM便のように休止の憂き目に遭わないともかぎらない。そこで、大胆にも需要予測を立ててみることにしよう。
フィンエアーはこれまで、東京/成田、大阪/関西、中部、福岡の4空港に乗り入れ。新千歳を入れて5つ目となる。しかも「当社は日本への運航便数で最大の欧州系キャリア」(同社のクリスチャン・レスヤック上級副社長)となるが、これだけの便を埋めるだけの集客ソースをどこに求めているか、という問題が頭をもたげてくる。
そんな中、フィンエアーが日本航空(JAL)、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、そしてスペインのイベリア航空との日欧線4社間で行っている「共同事業」が大きなテコとなる。この「共同事業」とは、4社が運賃を共通化していることから、利用客は前述の4社の便について「あたかも1社が運航している」ように自由に選べる、というものだ。
具体的には、JALの国内線就航地点から任意のフィンエアー便の出発空港までの乗り継ぎ便を無料、または特別料金で手配できる取り決めが設けられている。たとえばこれまで、成田からの直行便が取れない場合、羽田から中部や関西経由でヘルシンキに向かう利用客がいたが、今後は東京から新千歳を経てヘルシンキに行くというルートを運賃の上乗せがほぼない形で選ぶこともできる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら