ランクルとレクサスLXは何がどう違うのか 骨格は同じながら価格差460万円超の意味

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そうした基本性能に加え、より豪華で高級さにあふれ、地位を保証する優雅さや威風を求め生まれたのが、レクサスLXである。最新のLXはレクサス車に共通するスピンドルグリルが与えられるなど、ランドクルーザーとの差別化が外観上より進められている。室内では、なめしに手間をかけ表面処理を減らしたセミアリニンと呼ばれる本革を使うなど、LSに通じる上質で豪華な内装を取り入れる。

技術面では、車体の骨格こそ基本的にはランドクルーザーと同じで全体的な形は大きく変わらないが、エンジンは別になる。同じV型8気筒の自然吸気ガソリンとはいえ、排気量がランドクルーザーより1.0リッター以上大きな5.7Lで、自動変速機も段数の多い8速AT(ランドクルーザーは6速AT)が組み合わされている。この大排気量エンジンは、他車では使われない唯一無二だ。

また、高速走行性能をさらに高めるため車体剛性が強化され、サスペンションなどの設定も調整されている。21インチ径の大径ホイールに組み込まれる偏平タイヤも、LXならではの選択肢だ。

試乗してみると、レクサスといえどもLXはクロカン四駆ならではのゆったりとした姿勢変化で、車体の大きさを意識させられる。レクサスの他のSUVであるRXやNXの、舗装路での走行性能を重視した切れ味のいい乗り味とは明らかに違う感触がある。大排気量のV型8気筒エンジンは強い底力を感じさせるとともに、2速から上の変速比が接近していることから、より滑らかに加速し、速度を上げていくように上質さが加わる。

LXの顧客は、やはり中近東や北アメリカに多いという。それら市場の裕福な人たちが、悪路走破に優れるランドクルーザーの技術を備えたLXを求めているのである。

日本車がいちばんという結論に至る理由

アメリカでは、都市部を離れると土漠が続き、かなりの距離を走っても給油スタンド1つ目に入らないような景色に出会うことがある。日本のように平野が少なく、その平野に人が密集し人口密度の高い都市が連続するような生活実感からすると、隔世の感がある。

そうした土地をクルマで移動していると「日本車のありがたみを感じる」と、アメリカに在住する筆者の知人は語ってくれた。いまでこそ携帯電話が普及しているが、かつては人気のない道路で万一クルマが故障したら命にかかわる事態になるのだと、その知人は話した。

そして富裕層は、人の少ない閑静な郊外に住みたがる傾向にもある。その点、日本車は壊れる心配がないので、アメリカに住んだらアメリカ車に乗ってみたいとの思いがあっても、安心と安全と命を守るには、日本車を買うのがいちばんという結論に至るようだ。

日本では想像もつかないような動機が、アメリカで日本車を買う理由の1つとなっている。しかもレクサスは、アメリカでそのブランドを確立してきた経緯もある。ならば、未舗装路においても壊れる心配をせず走ることのできるレクサスLXを選ぶ意味が見えてくる。

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