中国が年始からチラ見せた「台湾攻撃」の意図 戦争を仕掛けるならアメリカより台湾だ
中国にそれだけの力はまだないだろうが、中国の軍拡を考えれば、必ずしもそうとは言い切れないものもある。確かに、中国軍の思考は次第にこの形の潜在的戦争を中心に展開するようになってきている。中国政府はアメリカ軍を退けつつ領地を掌握したいのだろう。
中国の軍備増強の多くは、基本的に台湾を獲得するのに必要となる戦争の形態に見合うような船舶、航空機、武器システムをめぐるものだ。攻撃部隊を輸送する上陸用舟艇や、アメリカ航空母艦を破壊すべく設計された、もしくはアメリカを紛争地域に寄せ付けないように設計されたミサイルに重点を置いていることも含む。
台湾があからさまな独立を宣言しないために
これらの武器がどれほど機能するかはまた別問題ではあるが、台湾に関するいかなる紛争においても、あるいは南シナ海のほかの紛争中の諸島においても、中核となるだろう。
ある程度これは、政治的な示威行為の踊りを踊っているようなものでもある。中国政府は過去半世紀にわたり、台湾が事実上の国家としてふるまうのをやめることができないでいるが、台湾があからさまな独立を宣言することだけは必死で阻み続けている。
中国政府が日増しに軍艦やジェット機で台湾周辺における誇示活動を強めているようなこの態度は、独立に関する動きを起こせばただちに戦争になると、台北で政権を握る者たちにある程度クギを刺すものでもある。しかしこれにはそれ以上の意味がある。世界の大国として自らを主張しつつある中国は、いつでも好きなときに台湾を獲得できるだけの十分な力を備えていると世界に示したいのだ。
台湾側にも問題がないわけではない。昨年11月、台湾における選挙準備期間中に台湾当局者たちは、中国が、蔡英文総統率いる独立派の民進党への支持を攻撃するロシア式のメッセージ戦を繰り広げた、と非難した。この選挙は民進党にとって厳しい敗北に終わり、親中派野党の国民党が勢力を伸ばした。しかし、年初の習国家主席のコメントは、中国政府は引き続き軍事行動が台湾にプレッシャーを与える最良の方法だととらえていることを示す。