「介護」に1カ月平均7.8万円かかるという現実 家族で介護方針について話し合うことが重要

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年金だけで生活することは難しいのが現状で、厚生年金なのか国民年金なのかで、いくら貯蓄が必要なのかも違ってきます。厚生労働省が発表した2018年度の「標準的なモデル世帯」における年金額は、国民年金が1カ月6万4941円、夫が厚生年金を受け取り、妻が専業主婦の夫婦では1カ月16万6863円~22万1277円となっています(※勤務先により異なる)。

これを想定すると、厚生年金の方は1人当たり700万円程度の貯蓄があるといいでしょう。月に5万円ほどきりくずして、何年暮らせるか計算しましょう。また、国民年金の方は、1人当たり1000万円程度の貯蓄を目指してください。ご夫婦の場合、1700万円程度の貯蓄が理想的です。

さらに大きな病気を患った際の医療費として200万円を余分に見積もっておくといいでしょう。老後に仕事を辞めたのちに貯金が尽きてしまい、貧困生活を余儀なくされるケースも増えているので、ぜいたくをしないことも大切です。

ご両親にいくら貯蓄があるかなど聞きづらいかもしれませんし、聞くと自分の財産を狙っていると思われる可能性もあります。そんなときは、介護費用の本を持っていってさりげなく聞き出しましょう。

介護休暇・介護休業を活用

両親や配偶者に介護が必要になり、同僚に迷惑をかけられないからと、退職しようと考えている人はいませんか? 介護離職者は年間10万人に及んでいます(平成29年就業構造基本調査。総務省統計局)が、介護は終わりがみえません。

介護が終わった後からの再就職は困難ですし、介護費用が底をついてしまうケースもあります。このようなことを増やさないために、国が定めている「介護休暇」「介護休業」というものがありますので、うまく活用しながら介護しましょう。

「介護休業」とは、要介護状態(※1)にある家族(※2)を介護するために取得できる休業で、ある程度まとまった期間の取得が可能です。対象家族1人につき3回を上限に介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者(※3)も対象となります)、期間は通算93日までとなっています。例えば、1回は30日取得して職場に復帰し、しばらくしたら残りの63日を2回に分割して利用できます。

「介護休暇」とは、要介護状態(※1)にある対象家族(※2)の介護、その他の世話(買い物、通院の付き添いなど)を行うために取得できる休暇です。1年に最大5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで可能)取得でき、半日単位や単発で取得することが可能です。有給休暇とは別の休暇と定められています。その他、介護休業とは別に、介護のための労働時間短縮(残業免除)が利用できます。

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