2019年の年初めに「買うべき株」とは何か 円安シナリオ崩れ、企業業績の先行きに不安
その中で、アメリカ、中国とも対立の落としどころを探る動きも見える。中国は「中国製造2025」戦略の代替となる、外国企業の参入に開放的な戦略策定を進めており「新戦略が2019年早々にも発表される見通し」と、1部に報道されている。
アメリカのドナルド・トランプ大統領も、中国の習近平主席との長時間の電話会談の成果を盛んにツイートしている。確かに中国から明確な妥協を引き出さない限り、この対立は終わりそうもない。だが、次のG20財務大臣・中央銀行総裁会議(4月11~12日)までには再度休戦する可能性があるとも言われている。
昨年10月からの急落は、そもそも何を織り込んだのか?
では昨年末の急落の理由はそもそも何を織りこんだのか。結局、マーケットが「アメリカの景気後退が懸念される中での米中対立は、景気後退リスクを一段と増幅させる」という危惧を抱える一方で、トランプ大統領とジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の間でそのリスクへの認識は大きく違っている。この「リスク認識の違い」に対する不安感を織り込んだというのがその答えだろう。
2018年の波乱は、2月の「VIXショック・適温相場崩壊」から始まったが、その引き金は、FRBの資産縮小計画であることは間違いない。当初は国債を月60億ドル、住宅ローン担保証券も月40億ドルの保有残(資産)縮小というもので、4兆5000億ドルのFRBの資産に比べれば微々たるものだった。だが、今や前者が月300億ドル、後者が月200億ドルとなっており、微々たるものとはとても言えない(日本円換算で月5兆円以上の資金吸い上げ)レベルとなっている。
しかも、それは12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエル会見で、今後も続くことが確認された。金融当局から見れば、株価は景気指標の1つに過ぎない。「株価が命」のトランプ大統領との認識の差が激しいのは当然だが、株価の動きをあまりに軽んじると、1990年の日本の失敗を再現することにもなりかねない。
1990年代の日本の失敗とは、渦中にいた筆者もどうしても理解できなかった金融政策で、3万8000円台で天井を付けた日経平均が3万円を割れ、2万円を割れて行くにもかかわらず、公定歩合を4.25%から5.25%、さらに6%へと急激に上げて行き、結果的に日本に「失われた20年」をもたらす大きな要因となった(公定歩合は今も「基準割引率および基準貸付利率」と名を変えて存在するが、政策金利としては全く機能していない)。
一方、日本においては、将来の企業収益の低下、具体的に言えば2020年度の減益まで織り込んだとも言われている。だが、強力な消費税対策も発表されているなか、日本企業の業績見通しはそこまで悪くはなっていないはずだ。ただし、短期的にドル高円安シナリオが崩れた現在、企業業績への先行き不安は増す。ここは、内需関連株に的を絞って春を待つのが良いだろう。「強気派投資家」にとっては我慢の時がもう少し続くかもしれない。新年早々「春を待つ」とは残念なのだが。
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