2019年の鉄道業界、注目のトピックはこれだ 新幹線はスピード試験で競演、西武に「新顔」

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JR北海道(北海道旅客鉄道)も3月末をもって石勝線の新夕張─夕張間を廃止する。同社はほかにも複数区間で鉄道からバスへの転換を打ち出している。九州では2017年の九州北部豪雨で被災した日田彦山(ひたひこさん)線の復旧をめぐり、JR九州と地元自治体の間での議論が紛糾している。2019年はこうした存廃論議が活発化する年になりそうだ。

新型車両は今年も続々と姿を現す。間違いなく大きな話題を集めそうなのは、西武鉄道の新型特急「Laview(ラビュー)」だろう。前面が球面状で、乗客の足元まで広がる巨大な窓が特徴的だ。営業運転開始は今年の春だが、昨年暮れから池袋―飯能間などで試運転を頻繁に繰り返している。駅では不意に姿を見せたユニークな車両に、多くの人がスマホのカメラを向けている。

東京メトロが2019年2月に丸ノ内線に投入する予定の新型車両「2000系」(撮影:梅谷秀司)

東京メトロ(東京地下鉄)の丸ノ内線でも新型車両「2000系」が2月に運転開始予定。こちらも球面のような先頭形状と、かつて走っていた丸ノ内線車両を思わせる真っ赤な色調のデザインが人気を呼びそう。

また、西日本鉄道も天神大牟田線に観光列車を春に投入する予定だ。

新幹線は高速化に向けて前進

新幹線では、JR東日本が次世代新幹線の試験車「ALFA-X(アルファエックス)」を開発中で、5月に完成予定。今後、東北新幹線の路線などで試運転が行われ、目撃される機会は多そうだ。

アルファエックスは2031年春の開業を目指す東北・北海道新幹線、東京─札幌間に投入される。5時間を超えるともいわれる東京─札幌間の所要時間の短縮に向け、時速360kmでの走行試験を行う。もしこの速度で営業運転できれば、航空旅客数世界一を誇る羽田─新千歳間からの利用者シフトが見込まれ、収益面でのメリットが期待される。冬場の羽田─新千歳間の空路は天候不良による遅延や欠航が少なくない。その点でも新幹線の存在感は高まりそうだ。

JR東海も昨年投入した新型新幹線「N700S」について、時速360kmの走行試験を年内に行う予定。N700Sの営業最高速度は東海道区間が時速285km、山陽区間が時速300kmで現在主力のN700Aと変わらない。しかし、N700Sは昨年すでに時速330kmでの試験走行を実施しており、今年はさらなるスピード向上を目指す。「床下機器が小型化され、16両すべてにモーターを設置できるようになったことで、加速性能が10%改善された」とJR東海の担当者は説明する。

なお、N700Sがこの速度での営業運転を行う計画は国内にはなく、台湾やアメリカ・テキサス州など将来の新幹線の海外展開を見越してのものだという。JR東日本とJR東海のスピード競争は非常に興味深いが、くれぐれも安全面にも最大限の配慮を払ってほしい。

今年は新幹線の新線開業はゼロだが、今後の開業に向けて全国各地で工事が進んでいる。

JR東日本が製造を進めている次世代新幹線の試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」の先頭車(撮影:尾形文繁)

北海道新幹線、新函館北斗ー札幌間は2031年春の開業に向け工事が進められているが、もし2030年の冬季五輪を札幌に招致できれば、開業時期が五輪に合わせて前倒しとなる可能性もある。

北陸新幹線は2023年春に金沢─敦賀間が開業予定。その先には新大阪まで延伸の計画がある。スケジュール上は、北海道新幹線の札幌延伸完了後に本格工事に入る予定だが、関西財界は「もっと早く」と、中央に要請している。とはいえ、北海道新幹線や北陸新幹線の早期工事着手にはそのための財源確保が不可欠だ。

財源という点では、早期着工どころか、現在の新幹線工事でさえ危うい状況にある。北陸新幹線と2022年度中に開業する九州新幹線西九州ルート・武雄温泉─長崎間を合わせ、追加事業費としての不足は3451億円に上る。理由は工事費の高騰だ。

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